円安とレコード・ブームが輸入中古レコード店に与える影響について




今回は「円安とレコード・ブームが輸入中古レコード店に与える影響について」です。

買付に行ってレコードを買ってくる中古レコード店にとって円安というのはホントに困ったものです。
ご存じのようにアベノミクスにより円は$1=¥85から$1=¥125まで下降しました。約3割の下落です。
これにより今まで$10(¥850)払って買っていたレコードは現在だと¥1250を払うことになります。
このくらいのレコードですとおおよそ2400円から2800円ほどで販売していると考えられます。
ざっくりですがどのくらいの利益があがっているか考えましょう。

100円で買って1000円で売るレコードは儲からない」でも書いたように
1枚当たり、かかる経費はおおよそ744円 ($1=¥100換算ですがご容赦下さい)

$1=¥85、2400円で販売する場合
経費744円を含めましておおよそ1594円ほど、ですので利益は806円。
これが
$1=¥125、2400円で販売する場合
経費744円を含めましておおよそ1994円ほど、ですので利益は406円。
厳しさがおわかりいただけたでしょうか
さすがに406円では割りにあわないと考えるレコード店も多いとおもいますので値段を上げて2800円にする、それとも買ってくる値段をできるだけ押さえるかという話になります。

各種メディアで言われているレコード・ブーム、それはメディアのあおりなのか?、それとも本当なのか?
その真実はさておき…
お客さんに「レコード・ブームだからいいよね、売れているんでしょ!」といわれます。
確かに一部のお客さんでアベノミクスの恩恵にあずかったした人は気前よく買ってくれたりします。
ただ正直なところ、全体的に景気が良くなった実感はありません。
当店はレアなレコードが多いですから、なかなか若年層の方には手が届きにくい値段だったりするので当店までそのブームとやらが波及してくれるのはまだまだ先です。
しかし私共の買付先アメリカでは本当に良く売れているようでどこのお店に行っても「売れているよ!」って言ってきます。羨ましいかぎりです。

でもこれが問題、輸入中古レコード店にとって今一番の大敵はレコード・ブームなんです。
「なんで!」って思う方も多いかと思います。
売れているのは良いことですよね、私もそう思います。
ただ売れているので値段も上がってきているのです。
$4くらいのものは$5~$6の価格に移行した感じです。
だいたい20%ほど値段が上がっているとお考え下さい。
先ほど$10で買っていたレコードは今は$12ほど、$1=¥125で日本円になおすと1500円
僅か2年での円の下落を加えると40%を超える上昇率。
海外での価格上昇、円安とダブル・パンチ、更にいいレコードはすぐ売れていくのでレコード店の店頭には無いというトリプル・パンチ。

前回の買付時に*Led Zeppelinの「Physical Graffiti」VG+程度のものをディーラーから購入しようとして
値段を聞いたら$60、近所のレコード店でそれくらいで売っているからといわれました。
状態からしてまあ売値が4800円くらいだったので$20位かなとは思ったのですが、想像を遙か上にいく値段でした。

当然のことながら40%高くなったレコードを買えるわけはないのでできるだけ安くみつくろうのですが、まあそれなりに大変。
レコード・ブームって今の段階だと買付中古レコード店にはちょっと困ったことだなと思っているわけです。
でもこれが続いてレコードを買う人がそれなりにいるのであればレコード店も存続していけるわけでそれはいい事じゃないかと思います。

そんな中で生きている私たち中古レコード店ですが、それでも一所懸命に探してできるかぎり値段を上げずに頑張っております。
ですのでわたくしどものようなレコード店を応援したいと思うあなた、是非、近所の中古レコード店で買ってあげて下さい。
忘れていました。その前に是非当店でご購入を…是非!
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次回は「クレームのお話」、面白かったクレーム他、クレームに思う事を書きたいと思います。

ブログ 『レコード店を考えてみる』 はこちらから

*『Physical Graffiti』を知らない方、このアルバムの中でも最も有名な「Kashmir」をYoutube(←をクリック)でどうぞ

レコード店をやるべきか、ジャズ喫茶をやるべきか



今回は「レコード店をやるべきか、ジャズ喫茶をやるべきか」です。
中古レコード店を生業としてるとちょいちょい、おじさま方に聞かれるこの問題。
どうなんでしょう。

まずはレコード店
そのレコード店を開店したいという方々がよく言われるのは「自分のレコードがあるからそれを売って、その間にどうにかすればやっていけそうな気がするんですよね。お金もそれなりにありますし、まあ儲からなくても続けていければなあと思っているんですけど」
わかります。ご自身の持っているレコードはいいタイトルが揃っているでしょうから、確かに最初はうまくいくと思います。
問題は『その間にどうにか』です。
「『その間にどうにか』はどうするんですか?」と聞くと
「友人からレコードを売ってもらったり、買付に行ったりすればどうにかなると思うんですよね」
う〜ん、確かにうまくまわればやっていけると思いますが、その希望的観測で大丈夫なのかなあと思います。
友人が売ってくれるレコードは友人がいらないレコードですし、買付をしたことがない方が買付に行って成功する可能性はジャズに関して言えばほぼ0%だと思います。
店舗を構えて内装して開店、そしてお客さんが来てジャズ談義…う〜ん、確かに楽しいでしょう。
わかります。お店開きたいですよねえ。
でも今となっては、お客さんが思うようにはレコードは売れません。
自分が好きなものは、みんなも好きだと思うのですが悲しいかな、そんなことはないんですよねえ。
いいレコードだけ売れて、残ったのはつまらないレコードばかり、仕入れもうまくいかない。
「あ〜こんなことなら、レコード店なんて開けるんじゃなかった」という溜息が聞こえてきそうです。
ですのでその状態にならないように考えないと経営は難しいと思います。
売り上げを最低のラインから計算すると失敗する可能性は低くなると思います。

買付の知識、レコードの知識があるのであれば始めてもいいのではないでしょうか。
でもたいていの人はそんなの知らないですよね。
少しずつ始めて、店舗は持たずヤフオク!で売ってみてうまくやっていけそうなら店舗でもというのが良いかと思います。
どちらにしろ、どうしてもかなりの知識とある程度の仕入れのルートが必要です。
どちらかが欠けている場合は諦めた方がよろしいかと思います。
買付は体力勝負のところもありますしね…

そしてジャズ喫茶
ジャズ喫茶を開店したい方々がよく言われるのは「本当はレコード店をやりたいんだけど、買付の方法や知識の面で不安だからジャズ喫茶ならいいかなあと思って、お金もそれなりにありますし、まあ儲からなくても続けていければなあと思っているんですけど」
はい、でも喫茶店も大変ですよ。
どの大きさではじめるのかは人によって違うと思いますが
仮に家賃が15~20万円程度で1人か2人でまわすと考えて、1日の売り上げの予算は最低で3万~5万円と言ったところでしょうか。
昔よく行っていた喫茶店の方が話していたのですが、「売れない日の4万円(彼の予算)ってその1日で考えると果てしなく遠いですよ、お昼の人の入りが少ないだけで凹みますから」
「でもレコード店から見ると喫茶店はいいですよねぇ、お客さんがくれば必ずいくらかはおいていってくれるんだから」
「いやいや、レコード店の方がいいでしょ、営業時間の残り10分でもガツンと買ってくれる人が現れればそれで売り上げ立つんですよ、喫茶店は残り2時間からの予算達成はまず不可能ですよ。羨ましい!」
まあ、お互い隣の芝生はたいそう青く見えるということでしょうか。
営業時間は11:00~22:00くらいが普通でしょうか。
仕込みもいれたら労働時間は12時間を軽く超えます。
どうです、ちょっと辛いでしょ。
しかも毎日が試行錯誤、さらに良い店に変わっていくよう努力を積み重ねなくてはなりません。
儲からなくてもいいと思うかも知れないけど、儲からなかったらつまらなくてやめたくなる可能性は大です。
ですのでお金を儲けたいと思わないならやめた方が良いと思います。少しでも儲けたいと思いましょ。
(本当にお金が有り余っていて趣味なんだよと言う場合は別ですよ)

ジャズ喫茶よりレコード店を始める方が敷居は高いと思います。
誰もが言いますがは「始めるのは簡単だけど、続けるのは大変だ」
そう続けるのはどちらも大変。
お店を良くする努力を楽しみ、ちょっとした辛さはちょっとした楽しみくらいの考えでやっていけたらいいですね。

ここまで書いて…たしかBar Bossaの林さんもFacebookで似たようなことを以前書いていたなと思い出しました。
ここより詳しく書いてありますので気になる方は是非!
Bar Bossaの記事はこちらから
ジャズ喫茶のrompercicciのご主人から「お前の書いていることはぬるすぎる、本当の真実とはこうだ!」というご批判の記事も書いて頂きました。
rompercicciの記事はこちらから
あわせてお読みいただくとなんとなく見えてくるものがあるのではないでしょうか。
おもしろいなあ。是非読んでみて下さい。

次回は「円安とレコード・ブームが輸入中古レコード店に与える影響について」です。
レコード・ブームだから結構儲かったりしているんじゃないのと思っている方もいらっしゃるかとは思いますが、さてどうなんでしょう。

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レコード、CDをできるだけ高く売りたいと思っている方は一応読んでおいた方がいい事 (中古レコード、中古CDはどこが最も高価買取をしてくれるのか)


レコード、CDをできるだけ高く売りたいと思っている方は一応読んでおいた方がいい事

まず始めに
この記事は当店にご来店頂いているお客様数人が他店に売ったときのレコードの査定金額と担当者とのやりとりなどを通して見えてくる事を書きました。
当然ですが中古のレコードを売買するすべてのレコード店の査定が分かっているわけではありません。
「うちはこんなことはない、もっと高額査定します!」というお店も勿論あると思います。
「まあ、そうかもしれないな」程度でご笑読いただければと思います。


今回は「中古レコード、中古CDはどこが最も高価買取をしてくれるのか」です。
レコードやCDを買っていると、次第に聴かなくなったレコードやCDがたまってくると思います。
そんなときどこに売りますか。
普通に考えると近所の中古レコード店、某大型中古店、なじみの中古レコード店、まあそんなところでしょうか。

ジャズのレコードを売りたい、ジャズ専門店なら高く買ってくれるに違いない…
ロックのレコードを売りたい、ロック専門店なら高く買ってくれるに違いない…
これって正しいと思います?

以前九州の方からお電話を頂いたことがあります。
「サボテン・レコードはブラジル盤強いですよね」
「はい」
「エリゼッチ・カルドーゾの●△×というレコードなんですけど幾らくらいで買い取ってもらえますか」
「う〜ん綺麗で*200~300円ですかねえ」
「そんなに安いんですか?」
「それはそうかも知れませんが、当店だと1000円で売れればラッキー、売れなければ最終500円くらいで売る事になるので」
「えっ、○○というレコード屋ではそれ3800円で売ってますよ」
「そのタイトルは人気が無いですし、言いにくいのですが○○はそのレコードの人気がないことを知らないのでその値段をつけているんだと思います。正直な話、そういうタイトルはうちのような専門店ではない方が高く買ってくれますよ」

そうなんです。
例えばジャズを集めている方がいらないレコードを売りに行くときジャズ専門店、ロックだったら、ロック専門店、ブラジルだったらブラジル専門店だったら高く買ってくれるんじゃないかと思いますよね。
でも良く考えてみて下さい。
みんながそう考えるんです。
自分のいらないレコードはみんなもいらないレコードかも知れない。
専門店にはそのいらないタイトルが沢山集まってきます。
需要と供給を考えると供給の方が多くなります。
ですので売る値段は更に安くしますよね。
そういったタイトルは専門店の方が普通のレコード店より安いことが多いです。
だから買取金額は安いんです。

専門店の得意なのはレア盤です。
彼らはレア盤なら当然高く買ってくれますが、ちょっと人気がないタイトルなどは当然良く知っているので安くなります。
専門店はレアなレコードをよく知っているし、人気のないレコードも良く知っています。
ですから、レア盤以外はそういうことを知らないレコード店の方が高く買ってくれたりします。

だからって近所の国内盤中心に扱っている中古レコード店やネット検索で上がってくるレコード買取店が高く買ってくれるとは思いませんが…

ネット検索で最も留意しなくてはならないことはすべてが真実ではないということです。

一番上には広告料金を払っている業者、それぞれの業者の買取サイト等が出てきますがそれらのレコード店が一番高く買ってくれるとはかぎりません。
口コミを読むと概ね良いことが書いてあり、この店なら良いな、でもちょっと怪しい…ちょっとダメなことも書いてある…信じていいのかな?なんて思ったりしますよねえ。

レコード買い取りランキング・サイトはどうなの?

買い取り価格をチェックするとその店の買取価格が一番なんだなんて思われますが、それも俗にステマと呼ばれるステルス・マーケティング的な広告なんですよね。(残念ながら信じてしまう人も多いとは思いますが…)
でもそれはすべてレコードを買いたと思っている業者が書いた広告なんです。
調べてみればわかると思いますが運営者情報、連絡先(連絡先はまず出てきません、そんなことでクレーム入れられるのもいやでしょうから)をチェックしてみればおかしいと思う方がほとんどだと思います。

もしできるだけ高く売りたいと思うのならネットの情報は鵜呑みにせず自分で良く考えて売るレコード店を選びましょう。

もし近所の新規でお店を開くレコード店(大きい方が良い)などあったらそこに売るのも正解です。
ちょっと前にHMV渋谷店ができたときにレコード売った方、思ったより高く買ってくれませんでしたか?
そういう新規に開店するお店は商品が欲しいでしょうから高く買ってくれる可能性が高いと思います。

懇意にしているレコード店があるようでしたらそのお店に売るのも正解です。
いつも買ってくれるお客さんにひどいことをする店主はそうそういないと思います。
…もしかしたらそういうひどい方もいるかもしれませんが…

レコードやCDを売るときは仕分けして、これはこっちの店、あれはこっちの店と売るのが最良の選択かと思います。

えっ、懇意にしているレコード店もないし、そんなのめんどくさい…
ならまず当店にお持ち込み下さい。

…「広告かよ!」と言われそうですが、売りたいなと思うレコード、CDがあるときは是非!
仕事ですからお許しを!

レコード、CDをサボテンレコードに売ってもいいよという方はこちらから

次回は「レコード店をやるべきか、ジャズ喫茶をやるべきか」です。
定年を迎える方やご年配の方によく聞かれる質問に答えたいと思います。

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レコードの価格について



今回は「レコードの価格について」です。
「同じレコードなんだけどあの店では○○○円なのに、この店では●●●円、どうして値段がちがうの?」というお客様からよく聞かれる素朴な疑問について書きたいと思います。

私たちが扱っているのは中古のレコードですから基となるレコードの価格などという物はありません。
それぞれのお店がそれぞれの思惑でレコードの値段をつけます。

でもそのおおよその価格ってどこからやってくるのでしょう。
当然、レコードは商品ですので需要と供給の関係で決まります。
だから需要があるレコードの価格は上がるし、需要がないレコードの価格は下がります。

たいていのレコードは若干の幅がありますがおおよそ相場と呼ばれる価格の中に収まります。
この相場ってよく分からないですよね。
どうしてその値段なるのか、考えてみましょう。
例えば3000円の値札がついているレコードがあるとします。
お店側がなぜその値段にしたのか、考えかたは数通りに分けられると思います。
1. 他店では4500円くらいで販売しているけど、その店では売れ残っている。うちではそのジャンルが強くないのでこのくらいだったら安いと思ってお客さんの誰かが買うだろう。
2. 他店では2000円くらいで販売しているけどうちはこういうジャンルが強いから。ちょっと強気で売ってみようか。
3. この前店頭に2500円で並べたレコードが2日も経たないうちに売れた、安かったのかもしれないな、今回はこのくらいでチャレンジしてみようかな。
4. これくらいが妥当でしょ。
そんな感じでレコードの値段をつけていくとおおよその相場という範囲内に収まるんだと思います。
その前におおよそのレア度と人気度が分からないと話にはならないのですが…

そう、忘れていました。オークション・サイトや大型ネット・ショップなどで尋常じゃない値段がついているものがありますよね。
大抵は1500円程度で買える物に9800円とか12800円という価格をつけたりしている、相場に比べたらなんだかとんでもなく高いみたいな、あれです。
そう、それは釣りなんです。
大型サイトですので当然たくさんの人が見に来ますよね。検索でひっかけて、お金に糸目をつけずに買ってくれる人を待っているのです。
ですからそれらは相場とは無縁とお考え下さい。

先日、他のお店の方とちょっとしたレア盤の話になりました。
その●△×というレコードというのがちょっと傷ありの普通くらいコンディションだとすると通常自分がつける値段が3800~4800円位のものなんです。
「シュリンクがかかっていて綺麗だったら幾らくらいで売る?」と聴かれたので
「どうせ誰かが高く売ったんでしょ、う〜ん、10000円…最大で15000円位かな」
「甘いな、某店では60000円で売れたみたいよ」
自分が考える相場と、別の店で考える相場、お客さんそれぞれが考える相場は大きく違うとこともあるという例なのですが、それにしても凄いですね、売ったレコード店も、お客さんも。
ただその店でその値段で売れたからといって自分のところでその値段をつけられるのかというとちょっと違うと思います。
60000円という値段をつけて売れる、それはいいのですがそれを購入したお客さんが他のお店に行ったときに10000円~15000円くらいで同等のレコードが売られていたらそのお客さんがどう思うのだろうか、それを見たお客さんは2度と当店からレコードを買ってくれないんじゃないかと思ってしまうのでその値段はつけられないんですよね。

一時の利益に心を奪われて、お客さんが離れてしまっては仕事を続けていけなくなります。

私自身の考え方ですが値段をつける上で大事なことは「自分だったらこの値段で買いたいと思う」ということでしょうか。
自分のお店においてあるレコードの値段が他のお店に比べて高かったり、安かったりするとは思いますが「自分だったら買いたいな」と思う値段をつけています。

どのくらいの値段をつけるかは、仕入れの金額と共にレコード店を続けていくための生命線です。
よく考えて値段をつけましょう。
(「 考えなくちゃいけないのはお前だよ!」と言われている気がしますが…)

次回はいらなくなったレコード、CDは何処に売るのがいいのか?「中古レコード、中古CDはどこが最も高価買取をしてくれるのか」という事を書きたいと思います。

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レコードの知識について



今回は「レコードの知識について」です。
売れるレコードを憶えるのが簡単なジャンル、難しいジャンルはどれなのかというような事を書いていきたいと思います。
自分が基本的な部分で分かるジャンルはロック、ジャズ、ヴォーカル、ブラジル、ソウルです。
それぞれの専門店の様にキッチリ深くは追求しきれていないのでおおよそということになりますがその点ご容赦ください。
他レゲエやクラシックなどのジャンルもありますがほぼ門外漢ですのでそこには触れません。

私が知っているかぎり最も憶えやすいのはヴォーカルです。
売れるタイトル数も多くないですしジャズ批評社から以前出版されていた「ヴォーカル読本」などを読めば概ね売れ筋はわかると思います。
大物歌手以外はリイシューの種類も少なめですので初心者にも分かりやすいと思います。

二番目に憶えやすいのはジャズです。
ユーロ・ジャズ・マイナー盤、USマイナー盤という憶えにくい部分もありますが、概ね高価で販売できるタイトルはBlue Note、Prestige、Riversideジャズ三大レーベルと誰でも分かりそうなところから、Bethlehem、Savoy、Columbia等と憶えていけば割合簡単に憶えられるかと思います。
または名盤といわれるものから憶えていくのも正しい方法だと思います。
ジャズはリイシューもそれなりにありレーベルやカバー裏面のアドレス違いやレーベルの溝有り、溝無しで大きく価格が変わります。
間違ってリイシューに高いお金を出して買ったりすると簡単に赤字になるので気をつけましょう。

残りはどれも一癖ありでちょっと大変です。
ブラジルはボサノヴァ、MPB*、サンバ、ショーロ等ありますが売りやすいのはボサノヴァ、MPBと限られます。
最新の書籍ですと「ブラジル・インストルメンタル・ミュージック・ディスクガイド」、若干古い書籍ですと「ムジカ・ロコムンド」や「ボサノヴァ・レコード辞典」などを読めば概ねの売れ筋が分かると思います。
ただしブラジル本国でボサノヴァやその付近の物は高額になっているので利益を得られそうなレコードは「その本に載っていないレコード」ということが難点でしょうか。

ソウルは価格変動幅が他のジャンルに比べると若干大きめですのでその時の価格が分からないと難しそうです。
ソウル、レア・グルーブ関連の書籍は多いですし憶えるのはそれほど難しくはないと思います。
しかし激レアなLP、45’sは見つからないし、高いしと二重苦です。
別のジャンルからピックアップしてダンス・ミュージックとして提示していくのが今、旬の方法のようです。

最も大変なのはロックです。
販売された枚数が多いだけあって憶えるのも大変です。
ジャズはひとくくりでジャズ専門店で経営することになりますが、ロックは更に細分化されたジャンルで経営することができます。
ビートルズ専門店、サイケデリック・ロック専門店、プログレッシブ・ロック専門店、パンク・ニューウェーブ専門店等々、いかに憶える量が多いか分かって頂けると思います。
売れているバンドも多いので1stプレス、2ndプレス、3rdプレス…と数多くあり、それぞれで価格が変わってきますし、ちょっとしたエラー・カバーなどで価格は大きく変わるのでそこも押さえておかなくてはいけません。
アルバム毎のインナースリーブや付属品の知識も必要です。
更に辛いことは現在レーベルの種類だけでなく、お客様が**マト番にこだわりだしたことでしょうか
主要なアルバムはこの番号についても押さえていなければなりません。

まあどのジャンルを扱うにしても好きでなければやってられない仕事ですので好きなジャンルを扱いましょう。
レコード店を始める時や専門でやってきたけれど他のジャンルを扱いたいなと思ったときのご参考にして頂ければ幸いです。

次回は「レコードの価格について」です。
どうして「あの店では○○○円なのに、この店では●●●円なの」というお客様からよく聞かれる素朴な疑問についてを書きたいと思います。

* ブラジルのポピュラー・ミュージックのこと
** マト番 レコードのデッドワックスに記載されている文字のこと

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需要があるものを売るべきか、開拓して売るべきか

上の写真はノアルイズ・レコードのウェブ・ページに掲載されているものです。


今回は「需要があるものを売るべきか、開拓して売るべきか」です。
総合店で行くべきか、専門店で行くべきか」の続きになります。

今回は前回より更に絞って「もうここでしか買えない!」というようなレコードを販売しているレコード店を考えてみたいと思います。
というわけで今回は下北沢にあるノアルイズ・レコードにいって色々聞いてきました。

サボテン・レコードは基本的に多くの需要が見込まれるであろうレコード、当店でなくても何処のお店でも売れるようなレコードを買ってきます。
ノアルイズ・レコードはスイング・ジャズ、現代音楽、ワールド、ドゥーワップ等のSP78’sを含むレコードをそのお店ならではの視点で販売しているレコード店です。

比べてみると販売方法も若干違います。
サボテン・レコードが扱っているレコードは主に名盤、内容をご存じの方も多いためネット・ショップ上に説明に記載すべきことも少なく、知られているレコードに関しては試聴もつけていません。
ノアルイズ・レコードはネット・ショップを見て頂ければ分かると思うのですが商品には詳細な説明が記載され、試聴ができるようになっています。
店主の阿部さんが言うには、「説明で大事なところは褒めるべきところは褒め、簡潔に音楽の要点をまとめて説明として提示することがお客さんの信用に繫がる」との事でした。
長すぎる文章や、褒めすぎの文章を掲載したアイテムはお客さんも「ちょっとやり過ぎ」と思うのか売れにくいかなとの事でした。
お客さんもよく読んでいるんですね。
でも「説明文、試聴がなければ全く売れないですよ」とも言っていました。

ノアルイズ・レコードで売れている物は78’sが約50%、LPが40%、45’sが10%くらいとのこと。
78’sを輸入して売っているところも少ないですし、更にノアルイズ・レコードが扱っているような78’sは更に見かけないだけあって需要が高いんですね。
概ねSPの在庫は3ヶ月で1回転するそうです。
ロングテールと言われるレコードですがこの在庫の回転数は凄いです。

78’sを買う層は30代くらいの人がメインで、男性の方が多いそうです。
78’sを聞いていた世代で考えると60歳代以上ですからその60歳以上の層ではなく30代の層ということですから確実にその需要をつくって販売しているということが分かって頂けると思います。

阿部さんの知識と熱意によってノアルイズ・レコードは運営されて、お客さんにとって素晴らしいお店になっているのですね。

もしレコード店で食べていきたいと思った時、
サボテン・レコードの様に需要があるレコードを基本的に販売していくのか、
それともノアルイズ・レコードの様に店主の好きな物を熱意を持ってとことん販売していくのか、
その方法を考えて頂ければと思います。

余談ですがノアルイズ・レコードで売れる78’sってどのあたりですかと聞くと「一番売れるのは1929年の大恐慌の後、1930~3年のその時代を切り取ったかのようなメロディーが暗くて素晴らしい作品が多いので、そのあたりが良いですね」とのことでした。
「凄っ!(その時代を知らない個人的な感想です)」

またノアルイズ・レコードの以前のメインの価格は2500円〜3000円程度だったのですが円安のため2800円-3500円位に値段を上げたいのですが上げると売れないんですよねえ、と少し嘆いていました。
というわけでお願いです。どうか円安ということを考慮してご購入していただけると私共もノアルイズ・レコードに協力できたなあと実感が湧いてきますので是非!

次回は「レコードの知識」についてです。
どのジャンルを憶えるのが一番楽なのか、または大変なのか、というような事を書きたいと思います。

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当店ただいま買付期間中セールを開催しておりますのでこちらも是非!
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総合店で行くべきか、専門店で行くべきか


今回は「総合店で行くべきか、専門店で行くべきか」です。
ネット・ショップの難しさ」の続き?になります。

中古レコード店というと中古レコードを買って販売しているんだから、どのお店も一緒でしょと思う方も多いと思います。
しかしながら結構違うんです。
国内から仕入れる方法と海外で買い付けて輸入する方法の2種類がまずあります。
今回は仕入れについては海外の買付にしぼり、販売するジャンルの違いで説明したいと思います。
ロック、ジャズ、ソウル、レゲエなどを個別に扱う専門店とそれらを全般に扱う総合店があります。
以前このブログにも書いたフラッシュ・ディスク・ランチも総合店。
当店はというとクラシック以外はたいていのレコードを扱いますが買ってくるのは基本的にコレクタブルな盤ばかりなので、専門店と総合店の真ん中くらいの立ち位置といったところかと思います。

もしあなたがレコード店を始めるとしたらどのようなレコードを扱いたいですか?
ジャンルを絞った専門店にすべきか?それともオール・ジャンルを扱うような総合店にすべきか? 悩むところだと思います。
今回はその強みと弱みを考えてみたいと思います。

まずは仕入から
海外買付の場合の仕入れ先は主にレコード店、ディーラー(コレクター)、週末に行われているレコード・ショーの3つです。
私たちはこれらを組み合わせてレコードを仕入れています。

1. レコード店
店舗展開していますので誰でも購入できますし、良いレコードを購入するにはある程度の「運」というものが必要になります。
専門店の場合は見る範囲もある程度限られるので総合店に比べればお店を多く回る事が可能です。
買えるレコードが少なかったりすると、買付の枚数を増やすために若干高めでも買わなくてはならなかったりします。
総合店の場合はレコードを見る枚数が多い分、販売価格に見合ったレコードを専門店に比べてそれなりに多く買える可能性があります。
どちらも人気のレコードだったりしたらちょっと高くても買わなくてはならないことには変わりはないのですが。

2. ディーラー(コレクター)
専門店の場合はそのジャンルに精通したディーラーを中心に回りレコードを購入することになります。
ジャンルに精通していると云うことは当然レコードの価値を良く知っているということで、それなりの代金を払わなくてはならないということになります。
総合店の場合もオールジャンルを扱っているディーラーからそのジャンルに精通したディーラーまで会うことに変わりはないのですが専門店にくらべて若干無理して買う必要がありません。
それでもあるジャンルのレコードが買えていないとなれば、いいレコードには、それなりの代金を払うということになります。

3. レコード・ショー
概ね週末に行われているレコード市です。
専門店の場合はそのジャンルのみを見れば良いので早く回る事ができ、良いレコードを購入できる可能性が高いです。
総合店の場合はそのお店で一番売れているジャンルを最優先に探すため他のジャンルのレコードの質が専門店でチェックしている方には劣ります。
それにショーに来ているのはディーラーだけでなく、それぞれのジャンルのコレクターもいるため、すべてが後手に回った場合は全くダメという事も考えられます。
まあ全部がダメということはまずないのですが…

専門店は商品を仕入れるのに高く付くこともあるし、買付で必要な枚数までレコードを買うのは総合店に比べて若干大変。
それに比べて総合店の場合、仕入れの金額は専門店と比べると比較的余裕があり、買付で必要な枚数までレコードを買うのは専門店に比べて若干楽ということになります。

次は販売について。
専門店の場合のお客さんは当然その専門店が仕入れているであろうレコードを探しに来ます。
買い付けしてきたレコードはその店に於いて需要が高いということになり、レコードが売れるまで早かったり、若干強気な価格付けをしても売れる可能性が高いということになります。

総合店の場合は専門店に比べて需要が若干低くなりますので、売るためには専門店と同様な強気な価格付けはしにくいです。
つけることも可能ですが専門店に比べて売れるまでに若干時間がかかったりします。
専門店なら売れそうなレコードが売れなかったりします。

専門店のリスクはどこにあるかというとやはり「ジャンル自体の人気がなくなるとそのジャンルのレコードは売れなくなる」
これに尽きると思います。
需要が無いレコードを買ってきても売れないですよね。最初は安いレコードから売れなくなってくるので、高価格のレア盤を購入していくことになります。
そうするとレア盤を高価で購入し利益を圧迫〜それより更に上のレア盤を高価で購入し更に利益を圧迫〜ということがスパイラルの様に続き、最終的には廃業ということになります。
これを回避する為には更に知識をつけて安くて売れるレコードを探したり、その時に高価になっているレコードを的確につかんで販売するということが必要になります。
ですので専門店ならの深く、更に深くといった知識が求められます。

次に総合店、オール・ジャンルでやっている場合はあるジャンルの人気が無くなってきたとしても他のジャンルで利益を取り返す事も可能です。
専門店と比べると良いような気がするかもしれませんが、レコードの内容が薄ければ売れないことに変わりありません。
仕入れを押さえるためにできるだけ安いレコードを幅広く買ってきたけど、やっぱり売れない。
やはりレアな高額盤をということになり、その結果は専門店で書いたことと同じです。
その時々の人気ジャンル、人気のレコードを考えて仕入れなくてはなりません。やはりその時々にあった知識が必要になります。

レコード店を始める際にどちらを選ぶかは自分の知識とそのジャンルの音楽が好きかどうかによると思います。

次回は「需要があるものを売るべきか、開拓して売るべきか」です。
専門店の中でも更に突き進んだジャンルを開拓、販売しているお店を当店と比べて考えてみたいと思います。

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ネット・ショップの難しさ


今回は「ネット・ショップの難しさ」です。
格安でレコードを売ろうとしたけど撤退せざるをえなかった訳(サボテン・レコード編)
の続き?になります。

レコード店をやってみたい方で、ちょっと実店舗を持つほどじゃあないけどネット・ショップくらいならやってみたいと思う方も多いのではないでしょうか。
お客さんから「ネット・ショップってどうなんですか? 儲かりますか?」とたまに聞かれたりします。
ネット・ショップを始めてからこれまで感じた事を書いてみたいと思います。

ネット・ショップをはじめればすぐ売れるようになると思う方も多いようですがそんなことはありません。
よく言われるのは「ネット・ショップを始めるのっていうのは『砂漠にオアシスをつくるようなこと』ですよね」。
言い得て妙なのですがその通り、砂漠に突然知らないオアシスができても誰も来ませんよね。
ですのでネット・ショップ経営というのはそのオアシスにどう人を導き、商品を購入して頂くようにするかというのが仕事になります。

ネット・ショップを始めたとき、私は1年ほどで集客、売り上げ共にある程度の道筋ができるのではないかと考えていました。
海外からの買付もでき、格安でレコードを販売する知識も充分あるスタッフも参加してくれました。
彼の持っている顧客とヤフオクから流れてくるお客を合わせてやれば成功の確率は高いと踏んだのです。
しかしながら思い通りにいかなかったことは前回書いた通りです。

思い通りにいかなかった理由の第1はスタッフの持っている顧客にプラスして更なる顧客の獲得が予想より少なかったこと。
第2はヤフオク!から人が流れてくるだろうと予想したにもかかわらずほとんどの人は流れてこなかったこと。
当時ヤフオク!をメインに販売していましたのでヤフオク!での落札価格を考慮しての価格で販売すれば必ず売れると踏んでいました。
でもこれがまったく、ビックリするほどネット・ショップには来ませんでした。
ヤフオク!で買う方の200人に1人くらいしかネット・ショップで購入して頂けませんでした。
ヤフオク!で買う人はそのオークションというシステムが好きなのでしょう。
ネット・ショップで「さくっ」と買いたい方は本当に極僅かしかいなかったのです。
開店2ヶ月後、ボーナスシーズンに30枚ほど合計で50万円程のこれは売れるだろうと思われるレアな好タイトルを投入したのですが1週間1枚も売れませんでした。
あれは悲しかった…あんなに良いタイトル入れたのに…という悲しいエピソードもあります。
まあまあ、それでも続けていれば徐々にお客さんに来て頂けるようになり、それなりの売り上げは上がるようになったのですが。

まずはどうお客さんに自分のサイトに来てもらえるようにするか

1.最低の*SEO対策はしましょう。
当然ながら基本的なSEO対策は必要です。ただあまりにも細かく考えても仕方無いと思います。
先日Web製作をしている方とお話をしたのですが「SEO対策はまず基本をおさえてそれ以上は気にしない。
対策してもそれはいつ変わるか分からないし、すでにGoogleもしっかりしているので細かく気にしてみても仕方が無い。
そんなことをならGoogle AdWordsやYahoo!リスティングを使って広告を出して自分自身でその評価を確認した方が役に立ちます。
それよりも自分のサイトの欠点を洗い直していった方が更に良いと思いますよ」と言っていました。

2.SNS, Blogを活用しましょう。
ここを読んでいる方はご存じの様にTwitterやFacebook、Blogなどを活用してお客さんに来てもらう。
ネット・ショップを持っている方でやっていない方はほとんどいないと思いますが大事ですよね。

3.きちんと定期的に商品をネット・ショップにアップしましょう。
売れても売れなくても最低週に1回か2回はアップしなくてはいけないのではないでしょうか
想像していただければ分かると思いますが月に1回アップするショップより、毎日アップするショップの方をついつい見てしまいませんか。
お客さんを飽きさせないようにすることが大事なんです。
それから「実店舗で売れない商品は売れないと思え!」
なぜかネット・ショップなら売れるんじゃないかと思ったりするみたいですが、まず売れません。希望的な観測はやめましょう。

ここまで読んで「えっ、どれもこれも大変、実店舗を経営するくらい難しいじゃない」と思った方、正解です。
そうなんです。ネット・ショップは実店舗にくらべて初期費用は少ないですし、運営にお金もそれほどかかりません。
でも実店舗と同じくらいかそれ以上に手間をかけて運営して、きちんと売り上げを立てるのは大変です。

一朝一夕にはうまくいかないですね。
地道な努力こそが成功に繋がると思います。
頑張りましょう!
って「頑張らなくちゃいけないのはお前だよ!」と言われている気もしますが…

次回は「総合店で行くべきか、専門店で行くべきか」です。
当店はジャズ、ロック、ブラジル盤などのメインストリームのレコード中心にオール・ジャンルで扱っていますが、一つのジャンルに絞った専門店と比べて考察してみたいと思います。

*SEO対策:GoogleやYahooの検索サイトで検索した際に特定のキーワードで検索した際に上位に表示されるための対策のこと。

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格安でレコードを売ろうとしたけど撤退せざるをえなかった理由(サボテン・レコード編)


今回は「格安でレコードを売ろうとしたけど撤退せざるをえなかった理由(サボテン・レコード編)」です。
「1000円でレコードを売るような格安店を成功させるには」
の続きになります。

前回まではどうしたらその様な形態で成功する可能性があるのかを書いてきました。
今回は1000円では販売していないものの、できるだけ安く販売しようとしたが撤退せざるをえなかったサボテンレコードの失敗について書きたいと思います。

当店は主にネット・ショップとヤフオク!を中心に販売しています。
ネット・ショップは2011年に開店しました。
2011年以前は主にヤフオクを中心に販売していました。
当時はヤフオクでの落札価格が下がってきていることに不安を感じ、ネット・ショップを開店し売り上げの押し上げを計ろうと考えました。
丁度、海外からの買付もでき、格安でレコードを販売する知識も充分あるスタッフも参加してくれました。
彼の持っている顧客とヤフオクから流れてくるお客を合わせてやれば成功の確率は高いと踏んだのです。
彼は主にソウル、レア・グルーブやソウルジャズ格安な商品を担当し、私は主にジャズやロックでクオリティ中心に若干高めの商品を担当。
ネット・ショップ自体は1店舗ですが、クオリティの高い商品と低価格中心の商品で2店舗のような感じを愉しめるということで当時はなかなか良いアイデアだと思っていました。
当店での最低価格は基本的に1200円、最低価格をその価格にした理由はただ単に1000円だと利益が薄すぎるからです。
ネット・ショップのオープンは10月の初頭、最初にネット・ショップに投入した枚数は700枚強。
見つけやすい商品は市場価格より更に安く、プレミアが付いている商品は若干安めにという考えの元に価格をつけました。
売り上げの数字はほぼ予定通り全く問題無く数ヶ月が過ぎました。
しかし当然のことながら数ヶ月もたつと問題点が浮き上がってきます。
売り上げは予定の数字内におさまっているのにもかかわらず予想より利益が出ないのです。
理由はプレミアが付いているもののレコードで若干安く販売している物は売れるのですが、低価格帯である1200円~1800円の商品の売れ行きが悪いのです。
低価格の商品は100円で買って1000円で売るレコードは儲からない
でも書いたように薄利多売ですので売れ残りが多ければ利益が確保できません。
格安での販売は原価率が高くなるため、経費などを差し引くと利益が出にくい状態になっていました。
低価格の商品の仕入れは難しくないのですが、それらの商品が売れなければ次回の買付で同じ商品を買ってくることができません。
買付可能な枚数にもかかわってくるわけです。買えないと1枚当たりにかかる経費が増え更に利益が少なくなります。
売れない理由はネット・ショップを始めたばかりということでお客さんに浸透するまでの時間がなかったということも当然あったと思います。
そうこうしているうちに残念ながら担当スタッフは退職しました。

彼の退職当時は1年半ほど続けてきた格安販売だったので縮小してでも格安販売を続けようと思いました。
しかしレコード・ショーやディーラーのところに行った際に低価格で販売できるレコードを見ることは見るのですが1200円で売れるのか、それとも1500円で売れるのか、在庫はどうだったか?と悩んだり、そして利益が…となると継続が困難となり、結局撤退しました。
「1000円でレコードを売るような格安店を成功させるには
に書いたようにもっと沢山買って、お店を再オープンして店舗販売を強化、そうすればあと2年程あればこの方法でやっていけたかも知れません。
でもそれは「…かも」にしかすぎません。私自身はレア盤やオリジナルの美品の方が需要が高いと感じていたので低価格での販売に魅力を感じられなかったということもあります。
そこはかとなく続けたいと思っていてもそれほど売れるわけでもないレコードを買って日本に送付する気にはなれませんでした。
商品をネット・ショップにアップしなければ今までネット・ショップに来てくれたお客さんは次第に来なくなります。
売れない→買わない→商品化できない→更にネット・ショップに来る人がいなくなり売れない→買わない…と「負のスパイラル」です。

撤退せざるをえなかった理由は2点、1つ目は予想していたより低価格の商品が売れなかったこと。
いいかえると私どものネットショップが力不足だったこと、そして利益の少なさから販促、拡大していく労力を惜しんだこと。
低価格の商品が売れないのであればその商品の素晴らしさを販促するなどの行為をしなくてはなりません。
しかし当店はフラッシュ・ディスク・ランチのようなこまめに人にお勧めしたりして、そこからお客さんの視野を広げるような販売方法をとっていませんでした。
当店は基本的に多くの需要があるレコードを買い付け、販売する方法だったことにも問題があったのだと考えます。
2つ目は当店の方法で今後のことを考えると更に利益が減ると予想されたのでその販売手法に興味がなくなってしまったこと。

フラッシュ・ディスク・ランチの椿さんはこう言いました。
「うち(フラッシュ・ディスク・ランチとサボテン・レコードの違いって解る? うちはレコードの輸入業者から出発したレコード屋、サボテンさんはコレクターから出発したレコード屋、だからうちと同じようにやろうとしてもうまくいかないんだよ」

次回は「ネット・ショップの難しさ」について考えてみます。

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1000円でレコードを売るような格安店を成功させるには



今回は1000円でレコードを売るような格安店を成功させるにはです。
「100円で買ったレコードを1000円で売って収益を上げるには」
の続きになります。

まずは問題点から。
商品が普通の中古レコード店にくらべて多く必要になる為、入荷枚数を増やさなくてはならない。
当然、商品を大量に売りさばかなくてはならない。
安いレコードというのはたくさんあるので入荷はそれほど難しくはありません。
多くの枚数を商品化して販売しなくてはならないことが大変です。

さあ、どう解決すればいいのか…
そうだ、そういう仕事で成功している本人に聞けばいい!
というわけでフラッシュ・ディスク・ランチの椿さんに聞きに行ってきました。

椿さんのツイッターを覗くと「突発的300円LP放出」云々、しかもたったの300円….
私共サボテン・レコードでは到底不可能な価格です。
「利益はあるんですか」と聞くと「それなりに薄いけど一応あるよ」とのこと。
300円でレコードをお店に並べるのは簡単です。
でもその300円のレコードをどうやって売っていったら良いのでしょう。
椿さんが言うには「お客さん自身の価値観で価値を感じなければお客さんは商品を購入する気にはならないでしょ。
人それぞれ価値観は違うので様々な方向からみるとそのレコードに価値を見いだしてくれるお客さんはいるし、その部分から得られる利益をコツコツと拾っていかないと意図のある安売りは成り立たないんだよね。
そのいうことを考えた上でその店なりの基準で価値をつけ直すことが大事なんじゃないかな。
そういう基準で考えれば300円のコーナーも良く売れるようになりますよ」とのこと。

フラッシュ・ディスク・ランチの場合、新入荷を300枚投入すれば1日で100枚以上売れるそうです。
私がいた間にも300円コーナーから20枚近くぬいている方がいました。
余談ですがフラッシュ・ディスク・ランチの300円コーナーには100円〜300円で購入した物をだけでなく、さらに少しはそれ以上の物も投入しているそうですので、そりゃ良いコーナーになるわけですね。

そして更にお客さんに購入したレコードに関連するレコードを薦める。
地道な努力なのですがそういうことこそ必要だそうです。

やはり一番の問題は10000枚買ってもすぐに商品化できないこと。
800円の商品は検盤、値札付け、外ビニールに入れることになるので商品化に時間がかかる。
300円の商品は検盤も簡略化し、値札もつけずレコードの袋にもいれないため商品化に手間がかからない。
そのぶんの経費がかからないため利幅が少なくても最終的な利益を考えると800円の商品より上なのでのではないかとの事でした。
やはり商品化するまでの時間をどう省くかということが大事なんですね。

仕入れで大事なことは800円、300円で売れる商品が分かる事、「300円ならLittle River Band、Amazing Rhythm Acesも売れるんだよ、サボテンさんには分からないでしょ」と言われました。
当店ではほぼ扱いがない価格帯のため1000円以下の商品は300円、500円、800円のどこの価格帯で売れるのかに関しては詳しくありません。でもここの見極めが重要なんですね。

そしてやはり音楽が好きなお客さんにどれだけ満足していただけるかということ。
椿さんが言うには『「音楽好き」のお客さんであればフラッシュ・ディスク・ランチの提供する商品の中からどんな自分にとって得になるようなお買い物をしていただいても、必ずどこかに店の利益になる部分がある一回のお買い物が店としては赤字になる*サービスだったとしても、そのお客様との長い付き合いからは必ず店に利益をもたらしてくれると思います』とのこと。

まとめてみると
1. 高額な商品だけでなく、1000円以下でも売れる商品も分かることが必要。
2. 低価格の商品は手間をかけずに商品化する。
(低価格の商品をヤフオクやネット・ショップを使用して販売するのは手間がかかる為難しい)
3.多くの方に店頭に足を運んでもらわなくてはならない。大きめの商業都市圏に店舗がないと不可能。
4. 音楽の知識が豊富で来店したに更にレコードを薦めて、次につなげるような営業。
5. どの仕事でも同じですがお客さんに満足していただけること。

このような事ができないと1000円でレコードを売るような格安店は難しそうです。

椿さんは「この仕事を長くやっているとレコードを売っているのか、ただレコードを運んでいるのかわからない」と言っていました。
なるほど、数をたくさん売っているとこんな気持ちになるんですね。

「よしこれでレコード屋をやってやるぞ!」と思う方は是非!

サボテン・レコードにこんなことができるのかと聞かれれば、勿論できません。
既に価格は若干違いますが似たようなことをして撤退済みですので。

次回は「格安でレコードを売ろうとしたけど撤退せざるをえなかった理由
サボテン・レコードがネット・ショップ開店から1年半ほど続けていた格安で販売する方法をなぜ撤退せざるをえなかったのかを検証してみたいと思います。

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*購入金額によってポイントがつくポイントサービスがフラッシュ・ディスク・ランチにはあります。