Donald Fagan / The Nightfly USオリジナルについて (2色文字カバーがオリジナルか?)

ご存じAOR名盤の1枚。40~50代の方で「当時聴いたよ~」という方も多いと思います。
時々巷で真実のように語られている
「初回プレスは上部の文字が2色になっていて、2ndプレスから1色になるんだよ」
ですがこれは間違いです。
たしかに2色カバーが少なめなのは事実です。
しかしプロモ製作の段階で既に2色文字も1色文字の2つのカバーが存在しています。
しかもプロモは高音質のQuinex II仕様ですので、たぶんこのタイプは初回しか製作されていないと思われます。

なぜこのようなことになったのか3つのストーリーが考えられます。

(1) 発売元のWarner Brothersは2色文字の方がアーティストもタイトルも目立つのでそちらを勧めたとは思います。
一旦はOKを出したDonald Fagenですが、製作されたものを見てやはり気に入らなかったのでしょう。
2色文字カバーをボツにして、残りの分を1色文字で刷った。

(2) 2色文字カバーはボツになったにもかかわらず、製作担当者が文字部分の色指定を2色のまま工場に発注してしまった。
出来上がってきたカバーを見て担当者は慌てたが、作った2色文字カバーの枚数が多すぎるので「しかたない、使ってしまおう」ということで使ってしまった。

(3)元々数種類のカバーを製作した。

ファンの方でしたらやっぱり(1)だと考えたいですよね。
私共もちょっと前までは(2)の様な凡ミスじゃないかと思っていました。

でも答えは(3)のようです。

下の写真は買付の時に見かけたものです。
いい加減な印刷のせいなのか、はたまた工場の差なのかと思ったのですが、よく見るとアルバムにコントラストをつけるためにカバーの文字とインナースリーブの色違いにして合わせていることからデザインの段階でこの様に指定されていたのだと思われます。
ということは色指定が間違っていたということは考えられなそうなので(2)という説はなさそうです。

私共が知るかぎりでは1色文字のカバーでも3種類の色を使い分けています。
2色文字のカバーを合わせると全部で4種類のカバーがあることになります。
Led Zeppelinの“In Through the Out Door”の様にそれなりに違えばすぐ分かったのですが、この妙な細かさがコレクターを悩ませていたんですね。

オリジナルなんか関係ない方が読んだら「どっちでもいいじゃないか!」という話ですが、オリジナルにこだわりを持つ方にはちょっと興味深い話ではないでしょうか。

どちらのカバーが好きかと聞かれれば1色カバーの方が統一感があって好きです。
でも売るならということなら、ちょっとレアな2色カバーですね。
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