格安でレコードを売ろうとしたけど撤退せざるをえなかった理由(サボテン・レコード編)


今回は「格安でレコードを売ろうとしたけど撤退せざるをえなかった理由(サボテン・レコード編)」です。
「1000円でレコードを売るような格安店を成功させるには」
の続きになります。

前回まではどうしたらその様な形態で成功する可能性があるのかを書いてきました。
今回は1000円では販売していないものの、できるだけ安く販売しようとしたが撤退せざるをえなかったサボテンレコードの失敗について書きたいと思います。

当店は主にネット・ショップとヤフオク!を中心に販売しています。
ネット・ショップは2011年に開店しました。
2011年以前は主にヤフオクを中心に販売していました。
当時はヤフオクでの落札価格が下がってきていることに不安を感じ、ネット・ショップを開店し売り上げの押し上げを計ろうと考えました。
丁度、海外からの買付もでき、格安でレコードを販売する知識も充分あるスタッフも参加してくれました。
彼の持っている顧客とヤフオクから流れてくるお客を合わせてやれば成功の確率は高いと踏んだのです。
彼は主にソウル、レア・グルーブやソウルジャズ格安な商品を担当し、私は主にジャズやロックでクオリティ中心に若干高めの商品を担当。
ネット・ショップ自体は1店舗ですが、クオリティの高い商品と低価格中心の商品で2店舗のような感じを愉しめるということで当時はなかなか良いアイデアだと思っていました。
当店での最低価格は基本的に1200円、最低価格をその価格にした理由はただ単に1000円だと利益が薄すぎるからです。
ネット・ショップのオープンは10月の初頭、最初にネット・ショップに投入した枚数は700枚強。
見つけやすい商品は市場価格より更に安く、プレミアが付いている商品は若干安めにという考えの元に価格をつけました。
売り上げの数字はほぼ予定通り全く問題無く数ヶ月が過ぎました。
しかし当然のことながら数ヶ月もたつと問題点が浮き上がってきます。
売り上げは予定の数字内におさまっているのにもかかわらず予想より利益が出ないのです。
理由はプレミアが付いているもののレコードで若干安く販売している物は売れるのですが、低価格帯である1200円~1800円の商品の売れ行きが悪いのです。
低価格の商品は100円で買って1000円で売るレコードは儲からない
でも書いたように薄利多売ですので売れ残りが多ければ利益が確保できません。
格安での販売は原価率が高くなるため、経費などを差し引くと利益が出にくい状態になっていました。
低価格の商品の仕入れは難しくないのですが、それらの商品が売れなければ次回の買付で同じ商品を買ってくることができません。
買付可能な枚数にもかかわってくるわけです。買えないと1枚当たりにかかる経費が増え更に利益が少なくなります。
売れない理由はネット・ショップを始めたばかりということでお客さんに浸透するまでの時間がなかったということも当然あったと思います。
そうこうしているうちに残念ながら担当スタッフは退職しました。

彼の退職当時は1年半ほど続けてきた格安販売だったので縮小してでも格安販売を続けようと思いました。
しかしレコード・ショーやディーラーのところに行った際に低価格で販売できるレコードを見ることは見るのですが1200円で売れるのか、それとも1500円で売れるのか、在庫はどうだったか?と悩んだり、そして利益が…となると継続が困難となり、結局撤退しました。
「1000円でレコードを売るような格安店を成功させるには
に書いたようにもっと沢山買って、お店を再オープンして店舗販売を強化、そうすればあと2年程あればこの方法でやっていけたかも知れません。
でもそれは「…かも」にしかすぎません。私自身はレア盤やオリジナルの美品の方が需要が高いと感じていたので低価格での販売に魅力を感じられなかったということもあります。
そこはかとなく続けたいと思っていてもそれほど売れるわけでもないレコードを買って日本に送付する気にはなれませんでした。
商品をネット・ショップにアップしなければ今までネット・ショップに来てくれたお客さんは次第に来なくなります。
売れない→買わない→商品化できない→更にネット・ショップに来る人がいなくなり売れない→買わない…と「負のスパイラル」です。

撤退せざるをえなかった理由は2点、1つ目は予想していたより低価格の商品が売れなかったこと。
いいかえると私どものネットショップが力不足だったこと、そして利益の少なさから販促、拡大していく労力を惜しんだこと。
低価格の商品が売れないのであればその商品の素晴らしさを販促するなどの行為をしなくてはなりません。
しかし当店はフラッシュ・ディスク・ランチのようなこまめに人にお勧めしたりして、そこからお客さんの視野を広げるような販売方法をとっていませんでした。
当店は基本的に多くの需要があるレコードを買い付け、販売する方法だったことにも問題があったのだと考えます。
2つ目は当店の方法で今後のことを考えると更に利益が減ると予想されたのでその販売手法に興味がなくなってしまったこと。

フラッシュ・ディスク・ランチの椿さんはこう言いました。
「うち(フラッシュ・ディスク・ランチとサボテン・レコードの違いって解る? うちはレコードの輸入業者から出発したレコード屋、サボテンさんはコレクターから出発したレコード屋、だからうちと同じようにやろうとしてもうまくいかないんだよ」

次回は「ネット・ショップの難しさ」について考えてみます。

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