前回よりかなり時間が空いてしまいましたが引き続きリイシュー製作のお話。
『「いい音楽なら売れる」ということについて考えてみました (リイシューにまつわるトラブル 2)』の続き、「もう終わりにしたい(リイシューにまつわるトラブル 3)」です。
それなりに順調に進んできたリイシュー製作でしたが、CIDレーベルとの契約ではマスターの問題で発売できなくなった物、製作完了したにもかかわらず版権の問題で発売できなくなった物もあり、そのうちレコードの製作もできない事になりました。
さすがにこの連続するトラブルにはうんざりしました。
ブラジルのRCAにもリイシュー製作の依頼をしたのですが彼らの最低ロットは2万枚からと到底不可能な数字をあげてきたので当然のことながらお断りしました。
いったいどんなアーティストのリイシューだったら2万枚も売れるのでしょうか。
最後には最低のロットは5千枚まで下がったのですが、まあそれでも売り切ることは不可能な数字です。
後にRCAが製作したリイシューは1000枚~と聞きましたので『どれだけふっかけているんだよ!』と笑ってしまいましたが…
パートナーはAntonio Adolfoを製作したEMIとCDのみ製作、LP製作は無しという再契約を結びました。
既にちょこちょこしたトラブルによって面倒臭いと思っていた私にLPレコード抜きでの製作はさらにやる気を損なわせました。
LPは扱っている店舗も少なかったので当店からすべてのLPを出荷していました。
しかしCDは卸店などを挟むため掛け率を更に落とすためそれほど利益が上がっていませんでした。CDとLPを合わせて販売しているからこそそれなりの利益が生み出せましたが、CDだけでは仕事に見合う利益が生み出せそうにありませんでした。
うんざりしていた私はパートナーにもうこの仕事はやりたくないと伝えました。
「今回で終了でいいから今回だけどうにかしてくれ、頼む!」
そう言われると仕方ない、今回だけということで引き受けました。
CDを自分のところでコツコツ売る事も考えたのですが引き受ける枚数が多すぎました。
地道に売って売れるような枚数ではありませんでした。
一括で購入してくれるところはどこのメーカーだろう。そう帯付の国内盤仕様で販売してくれるのはどこかなと考えたのです。
もう既にOs Tres Moraesと70年代のJongo Trioの発売は決めていました。
当時を知る方ならご存じの様に持っていなければ誰もが欲しくなる人気盤の1枚、あっ! 2枚。
これを提示して相手の会社に売り込めばなんとかなるのではないかと考えました。
そういうのをやってくれそうなところはまあA社かB社。
お店にも来ていたお客さんがA社で働いていたのでお願いしました。
とんとん拍子に話は進み、最終的にはA社の希望タイトルも含めて6タイトルを発売することになりました。
そうするとただ単に入ってきたCDを彼らの工場に送るという作業を繰り返すだけです。
EMIだけあって納期は守るし、商品にも問題はない。
これは楽、数をチェックして送付するだけ、ただしおもしろみは全くない。
そして契約枚数を出荷して終了。
納品書を確認したらLuiz Carlos Vinhas/No Flag、Trio Esperanca、Evaの3タイトルも出荷したことになっているのですが
本当に出荷したのかなと思うくらい憶えていない。
歳のせいかもしれませんが…
暫くして彼からまたCDをリイシューするからお願いできないかと連絡がありました。
そんなことになるだろうとは思いましたが「申し訳ないけど、もうやりたくない」とメールをしました。
「分かった、なら他のディストリビューターを紹介してくれないか」
「トラブルもそれなりにあったので自分からディストリビューターになってくれそうな会社には薦めることはできない。でも○○や◇◇だったら受けてくれるかもしれないから連絡してみれば」と教えました。
ほどなく○○から彼が製作したCDが出されていました。
発売できて「ほっ」とした気持ちとは裏腹に○○がトラブルに巻き込まれないといいなと思ったことを憶えています。
というわけでリイシュー製作をやめ、普通の中古レコード店に戻りました。
できるかなと思いながら始めたリイシュー製作でした。赤字もなく順調に利益も出せて良い経験になりました。
まあトラブルとレコードのリイシューができないことで面倒臭くてやめちゃったんですけどね。
もしこれを読まれた方でリイシューを作ったりする機会があったら是非やってみて下さい。
そりゃ利益は保証できませんけど売るのって楽しいですよ。
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当時製作したタイトルまだ若干数残っています。
どのアルバムも素晴らしいので気になる方は是非!
買っていただけると嬉しいです。
Celeste(セレスチ)/Cinco E Triste Da Manha
白眉、Djavanのメロウ グルーブ「Serrado」のカバー、「Amor E Tres」他収録の名盤。
試聴:Serrado
Antonio Adolfo E A Brazuca(アントニオ アドルフォ)/Same Title
Antonio Adolfo率いるA Brazucaの2ndアルバム。ブラジリアン・ソフト・ロックの名盤。クラブ・クラシックの「Transamazonica」、コーラスとエレピが織りなすハーモニーも夢見心地な「Claudia」、他収録。
試聴:Transamazonica
Orquestra Namorados Da TV(オルケストラ ナモラードス ダ ティーヴィー)/As Maximas De Novela
AzymuthのRoberto Bertramiがアレンジで参加したことでも知られるCidレーベルが製作したテレビ・ドラマ・カバー曲集。オリジナルを超えると言われる方も多いグルービーな「Sex Appeal」、「Shirley Sexy」他収録。
試聴:Sex Appeal / Shirley Sexy
Cry Babies(クライ ベイビース)/Same Title
Marva Whitneyの「It’s My Thing」、Kool And The Gangの「Kool And The Gang」、ブレイク入り「Hey Blood」のカバーなどを含むブラジリアン レア グルーブ傑作。
試聴: It’s My Thing
次回は『著作権の問題(リイシューにまつわるトラブル 4)』です。
ブラジル盤しか売れていなかったときのサボテン・レコードのことを書きたいと思います。
「いい音楽なら売れる」ということについて考えてみました (リイシューにまつわるトラブル 2)
今回は引き続きリイシュー製作のお話。
『儲からない…(リイシューにまつわるトラブル Vol.1)』の続き、「いい音楽だから売れる」ってどういうことなの?を書きたいと思います。
ブラジル盤のリイシューを買われた方はご存じかと思いますが、ブラジル盤のリイシューで出来の悪いものはそれなりに多く、これって「ブートじゃないの…」みたいなものもありました。
ですので私共がパートナーにお願いしたことはクオリティです。
最高の音質は求めることはできませんがある程度の音質とカバー・ジャケットのクオリティこれは必須でした。
私共が販売するのですから買って頂いた方に満足して頂けるクオリティを維持したかったし、「あのサボテン・レコードで売っているリイシュー酷いよね」とはどうしても言われたく無かったのです。
Claudiaの『Passaro Emigrante』をリイシューした後
同じくCBS製作でDom Salvadorの「Som, Sangue E Raca」、EMI製作でAntonio Adolfo E A Brazucaを製作しました。
どのアルバムも人気盤でしたので販売はそれほど難しいものではありませんでした。
クオリティーもCBS、EMI製作だけあって品質も良好でした。
その後レ−ベルCIDと契約することになります。
名曲「Bananeira」収録のJoao Donatoが参加したEmilio Santiagoの1stアルバムなどを発売したブラジル音楽ファンにはちょっと気になるレーベルの一つです。
私はちょっとしたチャレンジをしたくなりました。
ほとんどの方に知られていないけど素晴らしいと思われるものをリイシューしたいという気持ちがむくむく湧いてきたのです。
そのアルバムは『Orquestra Namorados Da TV』
LPは数枚売ったことがあるので内容の素晴らしさを知っていました。
グルービーな「Sex Appeal」、「Shirley Sexy」等々。
AzymuthのRoberto Bertramiのアレンジも相まってオリジナルを凌駕するカバー集でした。
2002年当時の雰囲気にバッチリあった内容、これなら絶対売れる、売れない訳がないと思っていました。
そう製作してきたものが順調に売れていたことから慢心していたことは否定できません。
そこにちょっとした落とし穴があったのでしょう。
CD、LPとも問題無く出来上がってきたのですがカバーのクオリティが低い。
パートナーに聞くと素材がCIDには残っていないため、レコードのカバーを転写して製作、傷みがあった部分はうまく隠したというのですが日本人の私には決して満足できるものではありませんでした。
いままで問題無かったから、たぶん大丈夫だとチェックしなかった自分が馬鹿でした。
だからといってカバーが綺麗なものが出てくるまで待っている時間もないし、再度製作する予算もありません。
やはり売り時にこそ売りたい。
販売店にインフォメーションを流し注文を取りました。
知名度がないため400枚くらいの注文が初回、カバーのクオリティが低いので追加の注文は厳しいだろうと思っていたのですが…
初回で頂いた注文はたったの合計72枚。
この時になって自分の馬鹿さ加減を痛感するのです。
「知られていない」というのはこういう事か!
このままでは大赤字、さすがにまずいと思いCD-Rをせっせと作り販売店に送付、なんとかお願いをしてやっと400枚弱の注文を頂きました。
その後は好調に売れて再プレス、製作したリイシューの中でもLPは特に売れた1枚でした。
(CDは若干数残っていますので買って頂けると嬉しいです↓)
そんなことから分かったことといえば
私共が考えるほどパッケージのクオリティはお客様にとっては大事ではない。やはり内容なんです。
(でもパッケージは大事にしないとダメだと思います)
「いい音楽」というものが自分だけ、自分の周りだけが思っているのか、それなりに多くの方がいい音楽と感じられるのかが分からないと失敗する。
レコード店をやっていてよかったと思う事はレコードを購入してくれるお客さんの反応からお客さんが今何を求めているのかというような事がそれなりに分かるようになったということでしょうか。
「いい音楽」だとしても販促をきっちりやらないと当然ながら売れない。内容の良さを理解して頂けた販売店の方々がこのレコードをプッシュしてくれたからこそよく売れたのだと思います。
そう何もしなければオーダーはたったの72枚だったのですから。
プッシュして頂いた販売店の皆様、お買い上げ頂いたお客様ありがとうございます。
たまにお客様から「もうリイシューやらないのですか?」と聞かれますが
その予定はありません。
そう今、『Orquestra Namorados Da TV』をリイシューしたらどれくらい売れると思いますか?
私共が考えるには300枚も売れない、下手をしたら200枚に届かないのではないかと思います。
悲しいことですがそんな時代です。
そう「いい音楽」はその時代によっても違うんですよね。
もし好きなCDを多く製作するお気に入りのレコード会社があるのであれば、できるだけそのレコード会社が製作したタイトルを買ってください。
そのことがそのレコード会社を潤しますし、そのレコード会社が更にあなたを豊かにするCDを製作するのではないかと思います。
次回は『もう終わりにしたい (リイシューにまつわるトラブル 3)』です。
以前ブラジル人と一緒に作ったリイシューのこと、第3弾を予定しています。
サボテン・レコードのネット・ショップはこちらから
ブログ 『レコード店を考えてみる』 はこちらから
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当時製作したタイトルまだ若干数残っています。
どのアルバムも素晴らしいので気になる方は是非!
買っていただけると嬉しいです。
Celeste(セレスチ)/Cinco E Triste Da Manha
白眉、Djavanのメロウ グルーブ「Serrado」のカバー、「Amor E Tres」他収録の名盤。
試聴:Serrado
Antonio Adolfo E A Brazuca(アントニオ アドルフォ)/Same Title
Antonio Adolfo率いるA Brazucaの2ndアルバム。ブラジリアン・ソフト・ロックの名盤。クラブ・クラシックの「Transamazonica」、コーラスとエレピが織りなすハーモニーも夢見心地な「Claudia」、他収録。
試聴:Transamazonica
Orquestra Namorados Da TV(オルケストラ ナモラードス ダ ティーヴィー)/As Maximas De Novela
AzymuthのRoberto Bertramiがアレンジで参加したことでも知られるCidレーベルが製作したテレビ・ドラマ・カバー曲集。オリジナルを超えると言われる方も多いグルービーな「Sex Appeal」、「Shirley Sexy」他収録。
試聴:Sex Appeal / Shirley Sexy
Cry Babies(クライ ベイビース)/Same Title
Marva Whitneyの「It’s My Thing」、Kool And The Gangの「Kool And The Gang」、ブレイク入り「Hey Blood」のカバーなどを含むブラジリアン レア グルーブ傑作。
試聴: It’s My Thing
儲からない… (リイシューにまつわるトラブル 1)
ご存じない方も多いと思いますが昔サボテンレコードはブラジル音楽のリイシュー製作も行っていました。
最初にリイシューしたのはClaudiaの『Passaro Emigrante』です。
2000年の6月ころだったと思います。
ブラジルのあるディーラーがリイシュー・ビジネスを始めたいので日本の*ディストリビューターを教えてくれないかと連絡してきたことから始まりました。
私は某レコード会社に行って、このことを説明しディストリビューターになっていただけないかと相談しました。
その会社の社長は私にこう聞きました。
「それでその人は信頼できるのか?」
「信頼できるとはいえません」
正直、私にとってそこまで信頼できるディーラーではなかったので「信頼できる」とは言えませんでした。
万が一、なにか問題があった場合、その会社に迷惑をかけてしまったら困るなと思ってしまった事も事実です。
そういうことならちょっと難しいということになりディストリビューターにはなって頂けませんでした。
今から考えるとそれでよかったと思います。
そう、その後私は彼に騙されることになるのですから。
…それが聞きたい?
でも、その話は別の機会に。
仕方ないので彼に「なら、私がやりましょうか」と申し出ました。
彼も「是非! 頼む」というので私が行うことになりました。
レコードなら扱っている店舗は限られるので注文を受けることはそれほど難しいことではありません。
ただCDとなると若干煩雑になりますので別の会社を通して小売店に販売してもらうことにしました。
ディーラーの彼はブラジルのCBSにつてがありCBSだったら発売できるとのことで、日本でお薦めのタイトルはどういうのがあると聞いてきました。
売れそうな数タイトルを彼連絡したところClaudiaの『Passaro Emigrante』を第一弾として発売しようと連絡がありました。
翌年になっても連絡が無かったので話自体がボツになったのだなと思いました。
正直、面倒だったのでこのまま無しになればいいのにと思っていた2001年の2月。
突然来月に商品が出来上がる予定だから送るからと連絡がありました。
ところが4月がすぎ5月になっても出来上がらず….
5月中旬、当店に来店したお客さんがとんでもないことを言うのです。
「そのClaudia、7月にSonyからCDが発売されるよ」
「7月18日にCDは発売されるから最悪でも6月10日までに入れてくれ、それでなければ商品自体をキャンセルせざるを得ないよ」と急いで彼に連絡したら
「そんなわけないよ、発売後2年間は*エクスクルーシブ(独占的な販売)のはずだからそんなことはありえないよ」
「でも発売が決まっているんだから、とにかく早く送ってくれよ、期日までにCDが着かなければ本当にキャンセルするから」
後日彼がCBSに聞いたところによると担当と別の部門がOKを出しちゃったのでもう仕方ないとのことでした。
ブラジルってホントいいかげんだなあと思いますがまあ仕方ないですね。
どうにか6月10迄に入れてもらったのですがさすがにもうソニーからでることが決まっていてソニーの販売価格が1800円位、それまでに売り切ることが可能な価格で販売となるとお店で1600〜1700円弱位…卸価格を考えると、「うわっ安!」…
とにかく全部を最初で売らなければいけないので初回限定卸価格で格安で販売。
で全部売って、諸経費を引くと自分の儲けは僅か5万円…
手間賃にもなりません。くぅ〜、厳しい〜!
でも、僅かながらもお金になっているだけまだましか…
こんな感じで始まったリイシュー製作。
あ〜辛い!
…でも続く
次回は『「いい音楽なら売れる」ということについて考えてみました (リイシューにまつわるトラブル 2)』です。
以前ブラジル人と一緒に作ったリイシューのこと、第2弾を予定しています。
サボテン・レコードのネット・ショップはこちらから
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*ディストリビューター : 日本国内で卸売りでCD等を販売する業者
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当時製作したタイトルまだ若干数残っています。
どのアルバムも素晴らしいので気になる方は是非!
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Celeste(セレスチ)/Cinco E Triste Da Manha
白眉、Djavanのメロウ グルーブ「Serrado」のカバー、「Amor E Tres」他収録の名盤。
試聴:Serrado
Antonio Adolfo E A Brazuca(アントニオ アドルフォ)/Same Title
Antonio Adolfo率いるA Brazucaの2ndアルバム。ブラジリアン・ソフト・ロックの名盤。クラブ・クラシックの「Transamazonica」、コーラスとエレピが織りなすハーモニーも夢見心地な「Claudia」、他収録。
試聴:Transamazonica
Orquestra Namorados Da TV(オルケストラ ナモラードス ダ ティーヴィー)/As Maximas De Novela
AzymuthのRoberto Bertramiがアレンジで参加したことでも知られるCidレーベルが製作したテレビ・ドラマ・カバー曲集。オリジナルを超えると言われる方も多いグルービーな「Sex Appeal」、「Shirley Sexy」他収録。
試聴:Sex Appeal / Shirley Sexy
Cry Babies(クライ ベイビース)/Same Title
Marva Whitneyの「It’s My Thing」、Kool And The Gangの「Kool And The Gang」、ブレイク入り「Hey Blood」のカバーなどを含むブラジリアン レア グルーブ傑作。
試聴: It’s My Thing
売れなくて、お店がつぶれそうな時ってどんな感じですか?
この前のブログで一年間売れなかった話を書きました。
お客様から「売れなくて、お店がつぶれそうな時ってどんな感じですか?」
と聞かれたのでその事を書いてみたいと思います。
売れない時ってそりゃつらいですよね。
他の店は売れているのに自分のところは売れていないのですから。
売るためにやらなくてはいけないことも多々ありますし、毎日が「どうやったら売れるだろう」ともんもんと考えるのみで、つぶれてからどうしようとかは全く考えていませんでした。
頭の奥の方に「お店がつぶれる」という感じはあるものの、すぐそこにその事態があるという感じではありませんでした。
どこかでその姿を見ている客観的な自分がいて「つぶれちゃったら、ほんとおもしろ〜い、清々するわ〜」とも思っていました。
そんなことにはなりたくはないのですが、なったらなったでそれはそれでおもしろい。みんなに馬鹿にされる姿が笑えるわ。
そう、リスタートのできないゲームの中で自分が試されていてる感じです。
この危機をどのように克服していけばいいのか、配色濃厚なところからの逆転劇、どうやったらうまく逆転できるのか考えるとわくわくしてしまいます。
つらいことを楽しんでいる自分はちょっとおかしな人間なのかも知れません。
前回の『思ったようにはうまくいかない』でも書きましたが2000年頃はレコードも結構売れていましたし、景気の良いお店も多かったのではないでしょうか。
「他の店がうまくいっているのに自分のところだけはうまくいかない」
自分のところがうまくいっていないのは自分のせい、ほかの店の経営が順調なら自分もうまくやれば経営は軌道に乗るということなんだと思っていました。
これが他に店も売れていないなら、ちょっと「ほんと大丈夫か?」考えてしまいますよね。
でも他の店が売れていないときにも、自分のところだけはどうにか売れている状態にしようと考えるのですが。
悲観的になるともうアイデアも浮かばないし、駄目な方、駄目な方へと流されてしまいます。
これって仕方無いんですが、よくないですよね。
自分の性格もあるとは思いますが売り上げの予算以外はわりに楽観的、達観的に考えています。
まあそれでも悲観的になるときもありますよ。
悲観的なときに力づけてくれるのはこの曲、よく聴きました。
頑張るぜ〜!
Curtis Mayfield“Move On Up”
繰り返しにはなりますがお店がつぶれそうなとき、なんだかんだいってその状態を楽しんでいました。
当時、妻と二人暮らしで子供はいなかったのでそんな感じで過ごせたのかもしれません。
今は子供もいて責任もあるのでそんな風に思えるかどうかは分かりません。
でもそんなことになったらまたそんな風に思っちゃうんでしょうね。
どこかでお気楽に考えていないと仕事はやってられません!
…ってそれは自分だけか…
次回は『儲からない…(リイシューにまつわるトラブル Vol.1)』です。
以前ブラジル人と一緒に作ったリイシューのことを書きたいと思います。
思ったようにはうまくいかない
今回は『思ったようにはうまくいかない』です。
お店を始める時ってわくわくして成功することしか考えませんよね。
自分もそうでしたし、多くの方がそうだと思います。
ただ売り上げが悪かったときのことなどマイナス部分も考えておかないとダメなんだよなとも思います。
レコード店で一番大事なものはなんでしょう。
当店の様な廃盤ばかり扱っている店に関していえば「レコードの質と店の知名度」
これだけだと思います。
この2つの要件を満たしていれば必ず成功します。
でもそれは中々難しい。
どちらも中途半端だったらどうしたらいいんでしょう。
どうしたら売れるのか考えていろいろやってみますよね。
音楽雑誌に広告をだしたり、ちょっとしたセールをしてみたり。
そういうときに必要なのはやはり運転資金ですよね。
お金がないからといっても最初から信用のない私たちに銀行がお金を貸してくれるわけではありませんので最初に用意しておかなくてはなりません。
当店は割にマニア向けのレコード店ですので最初から売り上げが「0」に近いようなことはないと思っていましたので、開店時の運転資金はまあ3ヶ月ほどあればいいかなと思っていました。
でもがこれが間違いでした。売り上げはのべで自分の最低予想の約80%ほど、これが1年近く続きました。
お店の経営が軌道に乗るまで1年近くの時間がかかりました。
そうするとやはり運転資金も尽きかけます。
お店の開店から1年後2000年の3月、その月10日までの売り上げは今までで最低。
運転資金で残った金額は40万円ほど。
すべてドルに替えて残りは何とかクレジットカードでなんとか買付に行こう。
「これが最後の買付かも知れないなあ」と思いながら買付にいきました。
事態は突然好転します。いままで何をしてもこれといった成果も得られなかったのに、なぜか買付中から売り上げは上がり続け、なんとか店舗を維持することができました。
後から考えると当店はあまり知られていなかったため売り上げが上がらなかった。
お客さんに知ってもらえるまで1年ほどかかったということなのだと思います。
2000年頃はレコードも結構売れていましたし、景気の良いお店も多かったと思います。
「他の店がうまくいっているのに自分のところだけはうまくいかない」でもこれって別に悪い事じゃないと思います。
自分のところがうまくいっていないのは自分のせい、ほかの店の経営が順調なら自分もうまくやれば経営は軌道に乗るということなんだと思っていました。
他のお店が売れていると分かれば、ちゃんとやれば自分のお店も売れるはずです。
経営が順調になるまで必要な運転資金を用意できたのかどうか、サボテンレコードが存続できたのはぎりぎりで間に合っただけだったのだと思います。
あと2ヶ月売り上げが悪い状態がつづいたのならサボテンレコードは今、存在していなかったと思います。
何かを始めようと思うとき、成功すると思っていてもできるだけ多くの運転資金を用意しましょう。
もしかしたらその運転資金に用意した金額が成功と失敗を分けるかも知れません。
次回は『売れなくて、つぶれそうな時ってどんなかんじですか?』です。
頂いた質問に答えました。
音楽ストリーミング再生とジャズ喫茶等に思う事
今回は『音楽ストリーミング再生とジャズ喫茶等に思う事』です。
先月Apple社の定額制音楽配信サービスApple Musicが始まりましたね。
ドコモからはdミュージック、auのうたパス等、更にコンテンツも充実して競争していくのだと思います。
店舗向けですがUSENとレコチョクが運営する店舗BGM用にiPad定額音楽配信「OTORAKU」もあります。
すべての楽曲が網羅されているわけではありませんがほとんど聴くことのないアーティストの楽曲などが聴けたりすることは大変楽しいことですよね。
著作権の支払い金額の件で賛否両論はありますが、それによりアーティストにも僅かながらではありますが著作権料が払われるということは良いことなのだと思います。
でも音質ってどうなんでしょう?
Apple Musicで提供されている楽曲はビットレート256kbpsのAACファイル。
dミュージック等は320kbps程度です。
正直、決して高音質とは言えないですよね。
音楽は高音質、ハイレゾの高音質な道と低音質のmp3や配信という道がありますね。
しかもメインとなっているのは低音質。
レコード店を生業にしているとこれって正直「あれっ?」て思ったりします。
たとえばSP78’sで聴くElvis PresleyとLPで聴くElivs Presleyが別物に感じる、そんなような感じが分かる方って多いと思うのですが、同じように良好な音質のLPとmp3程度の音質をそれなりに良いオーディオを使用して聴き比べるとかなり違います。
でもそれって気にしないかぎり普通は分からないですよね。
誰でも簡単に行けて、そういうことが分かる場所ってどこなんでしょう。
良い音で聴ける音質を売りにしているバーとかジャズ喫茶などの飲食店ではないでしょうか。
iPhoneに入っているSonny Rollinsの『Saxophone Colossus』とジャズ喫茶で聴く『Saxophone Colossus』って正直別物だと思うんです。
「よく分からないなあ」と思う方は是非近所のジャズ喫茶等に行って聴き比べて下さい。
駄曲だと思っていた曲がこんなに素晴らしかったのかと思うくらい、良い音質で聴く音楽とそれ以外の音質で聴く音楽は本当に違います。
低音質で聴いている音楽は本当の音楽ではないのではないかと思うくらい「おお〜っ!」とうなっていただけると思います。
それら飲食店ごとにプレイする音楽は違うわけで、そこでプレイされる音楽はお客さんに対しての広告になるのではないでしょうか。
広告効果があるのはラジオと同じじゃないかという方もいるかと思いますがそれは違うと思います。
ある部分ラジオはスポンサーの意向に添ってプレイする音楽も決められますし、多くは現在のチャートを考えて売れると思われる音楽を放送します。
それと比べれば年代は関係なくそれぞれの喫茶店が良いと思われる音楽を流すことによりお客さんの興味はラジオに比べて広がると思うんですよね。
あの喫茶店でかかっていたあのレコードが欲しい、あんな音がでるならオーディオを揃えてレコードも買いたい、CDも欲しいと思ってレコード店に来る方も出てきているのではないでしょうか。
そういう繫がりが音楽業界、オーディオ業界を僅かながらとは思いますが貢献しているのではないかと思います。
希望的観測ではありますが更にその様な事が広がれば音楽業界もオーディオ業界も良くなっていくのではないのでしょうか。
ですのでその様なところをなくさないためにも近所のジャズ喫茶、音を良い飲食店などに行って頂きたい!
そして、近所のレコード店にも行って、しかも買って頂きたい!
ネットでレコードを販売しているレコード店からも買って頂きたい!
ついでに当店からも是非! ↓
次回は『思ったようにはうまくいかない』です。
開店してからのなかなか経営が軌道に乗らなかった時のことを書きたいと思います。
音楽の好みと地域性
今回は『音楽の好みと地域性』の話です。
「Elvis Presleyってどんな人」と聞かれたら
「ロックの基礎を作ったキングと称される偉大な人」と多くの人がこんなふうに答えますよね。
でも黒人のレコード・ディーラーと話したときに彼はこう言ったんです。
「Elvis Presleyはクソだ。黒人から多くを盗み、そして何も還元しなかった。最低の奴だ!」
ちょっと言い過ぎと思う方もいるとは思いますが、黒人の側から見たらそれがある部分事実なんですね。
以前Hal’s Recordsの池田さんとお話させて頂いたときに「Helen Merrillってアメリカには結構ある?」と聞くんです。
「アメリカではなかなか見かけないですよ、ヨーロッパに買付に行っているんだからそっちの方がそれなりにあるんじゃないんですか」
「ヨーロッパの方は黒人にジャズの神髄があると思っているから白人のヴォーカルはあまりないんだよね」
「えっ、そうなんですか」
日本人の感覚だとちょっとビックリしませんか。ジャズ・ヴォーカルの神髄は黒人にありですよ。
日本人だとけっこうこんな感じです。
「お薦めのヴォーカルないですか?」
「Ella Fitzgeraldのバラッドとか心に沁みますけどどうですか?」
「いやあ、上手くても黒人は無理、ジャケ見ても楽しくないし、白人の可愛いのか美人さんがいいな」
そうなんですよね。女性ヴォーカルというのはおじちゃん達のアイドルなんです、だから可愛くないとダメなんです。
勿論そうじゃない方もたくさんいるのは知っています。
そう、でも日本人の多くは黒人の歌手より白人の歌手を好みますよね。
ジャズで考えると名盤って美女ジャケが多くないですか。
内容が同じくらいだったら美女ジャケの方を名盤としているような気がしませんか?
ちょっと内容は落ちるけど素敵な美女ジャケだから…なんて
そうこれもちょっとアイドル感覚が入っているんですよね。
勿論、自分だってElla Fitzgeraldがもっと可愛かったら良いのにとか思いますし、カバー写真は美女のほうが嬉しいですよ。そりゃ男ですから。
個人的には中身が一番大事とは思いますが、聴き方は人それぞれ、好きなアーティストを聞くのが一番ですよ。
またロックの話に戻りますがブラジルでは日本ではほぼ売れない*Ramatamが人気なんだそうです。
Ramatam誰だよって思う人も多いのではないかと思うくらい日本ではマイナーですよね。
何で人気があるのか分かりますか?
そう、あるブラジルの評論家が絶賛していたのが受け継がれて、これがロックの定番となって売れているとブラジルの友人から聞きました。
これって、あの映画*『シュガーマン 奇跡に愛された男』と同じ感覚ですよね。
その国、その地域によって大まかな流れがあるんです。
それはメディアや評論の影響だったり、先ほど書いたことを例にとれば人種の違いだったり、そういうところから音楽の良し悪しが生まれてくる感じがします。
そう考えるとそれぞれが違う様に思っているのだから良い音楽とか悪い音楽とかの意味って無いじゃないかと思ったりします。
音楽って見ている方によって形が違うということが分かると更に面白くなったりしませんか。
もちろん思った通りじゃなくてがっかりする方もいるとは思いますが。
私たちは良い音楽を求めて聴いていたりしますが人それぞれ、それぞれの人が好きなものが良い音楽でいいじゃないかと思う次第です。
次回は『音楽ストリーミング再生とジャズ喫茶等に思う事』です。
少し『レコード店を考えてみる』から離れてしまっていますがもう少しお付き合いをお願い致します。
サボテン・レコードのネット・ショップはこちらから
ブログ 『レコード店を考えてみる』 はこちらから
*Helen Merrill / You’d Be So Nice To Come Home To (Youtube)
*Ella Fitzgerald / Satin Doll (Youtube)
*Ramatam
元Iron Butterflyの Mike Pinera、JImi Hendrixと共に活動したMitch Mitchell、紅一点の美人ギタリストApril Lawtonをメインにしたちょっと小さなスーパーバンド、気になる方はyoutubeをどうぞ
*『シュガーマン 奇跡に愛された男』予告編(Youtube)
レコードの転売で食べていけるのか?
今回はたま〜にお客さんに聞かれる「転売で食べていけますかね〜」について書いていきたいと思います。
結論からいえば今は食べていけると思います。
友人にもいますし、コンスタントに頑張ればやっていけるのではないでしょうか。
お店で買って、ヤフオク!等に出品して転売、知識があればそんなに難しい事じゃないですよね。
友人の話ではやはりちょこちょこ、転売屋の世界に入ってくる人がいるそうです。
当然、やめていく人もそれなりにいるそうで大体の人数はそう変わらないと言っていました。
なにが辛いってやはりほぼ毎日どこかに買いに行かなくてはならないこと、それを出品してとなるとそれなりに時間がない。
「誰にも縛られない生活はまあいいんだけど、やらなければお金にならないし、結局は縛られているんだよな」とのことでした。
そうですよね、毎日お店を回ってどこかでやっているセール、100円セール、週末のセールなどに顔を出してレコード買って、同業者同士のそれなりの競争もあってとなるとそれはそれでちょっとしんどいですよね。
じゃあいったいどれくらい儲かるのということが気になりますよね。
「経費、仕入れなどを除いた金額は月で20万円〜40万円くらい、平均だと30万円位かな。ラッキーな仕入れができればもうちょっとはいけると思いますよ」とのこと。
どうです、やってみたいですか?
確かに短期で働くなら良いですよね。
次に何かをする目的がある、それなら一時的に転売屋も悪くないと思います。
ただ長い目でみたら、申し訳ない、正直お薦めできません。
どんなにレコードが好きでも、ほぼ毎日の買付…疲れ切っちゃうかもしれません。
結婚して、子供が欲しいかなと思ったとき、その仕事がダメになったらもうつぶしが効かないです。しかもなんの保証もありません。
しかも楽そうにみえて決して楽ではない。
だからこそ、転売の世界に人は入ってきてまたやめてしまう方も多い?それなりにいる?のだと思います。
仕事だからどれも厳しいのは同じじゃないかという方もいらっしゃるとは思います。
俺は自立して頑張るんだ!と思う人には良いかもしれません、でも当然ながらくじけないことが前提です。
更に次にどのようにステップ・アップしていくかを考えておきたいところですね。
それができるならOK! 転売屋、良いじゃないですか。やってみましょう!
お願い:「サボテンレコードが『やってみましょう!』って書いてあったから始めたのに利益が出ませんでした」と言われても困っちゃいますので始める場合は自己責任で御願い致します。
次回は「音楽の好みと地域性」についてのお話です。
ディーラーから聞いた話などを交えてそれぞれの音楽に対しての感じ方について書きたいと思います。
クレームのお話 (2)
今回も「クレームのお話」です。
前回はこんなクレームがありました。
でもそれってお店にとってはありがたい事でもありますと言うことを書きました。
お店や通販を生業としている方で書いてあることは分かるけど…それでも、理不尽なのはどうしても耐えられないと思う方も多いと思います。
今回はどうやって、そのいたたまれない気持ちをどう抑えていくかということを書きたいと思います。
まず今回は私共がお客様の気持ちを汲み取ってあげれなくてスミマセンという例を取り上げてみました。
またまたヤフオク!の例ですが
500円のレコードを落札された方がいらっしゃいました。
当然「落札ありがとうございます」というメールを送付したのですが
帰ってきた返事は
「500円のレコードに送料600円(当時)はいかがなものかと思います。送料の再考をお願いします」
送料はオークションのページに書いてあるし…困っちゃったな。
再考する余地もないので「…申し訳ございませんがオークションのページに最初より記載してありますので何卒ご了承ください」
返事は
「(オークションページに)書いてあるので今回は支払いますがどうして500円のレコードに送料600円払わないといけないのか意味がわかりません」
…う〜ん、申し訳ない、でも意味が分からないのはこっちもなんです。
ヤフオク!って通販でレコードを買ったことがない方が買ったりもするので当店がお客様に送付する落札メールは若干長めなんです。
送料について、送付方法など40行弱説明しています。
お客さんからのご指摘の度に直して、間違い無いようにお客さんに伝えるられるようにしていったら最初は10行くらいだったものが40行弱まで伸びてしまったのです。
これでよし、概ね間違い無い!って思ったところに新たなクレームがやってくるのです。
「御社の落札メールは送付方法など細かく記載がありますが、これはただ単に問題があった場合の逃げ口上のように感じます。普通の方でしたら分かる事をつらつら書くのはやめて頂きたい」
はい、そうなんですけど…みなさん良くお分かり頂いているお客さんみたいな人ばかりじゃないんです。
すみません。
短ければ短いで問題があり、長ければ長いで問題とは悩ましい事です。
500円のレコードに新品の外袋が付属していないと責める方。
「○○という店では300円のレコードでも新品も袋をつけてくれますよ!」
「申し訳ございません。当店ではその様なサービスは行っておりません」
「だったらそこで買えばいいじゃない…」という言葉が喉から出そうになりますが…ご満足させてあげられないこと、申し訳ないです。
お客様、できれば
100円で買って1000円で売るレコードは儲からない
を読んで頂きたい。
ご理解して頂けないかもしれませんが…
当店は盤をカバーの外に出して送付するんですが
「そんなレコード店初めて見ました、ありえません。最低です」とメールを送ってくるお客様。
え〜っ、レコードって底割れしないように盤を外に出して送るものなんじゃないの〜
そうか、それは常識じゃないのか、仕事って難しい…
オリジナルと書いたのを見て「これは初回プレスですか、最初につくられた物という保証はあるんですか」
と聞いてくるお客様。
「申し訳ございません。そこまでは分かりかねます。レーベル、カバーの仕様が初回にプレスされた物と同様ですと2回目でも、3回目でもオリジナルなります」
「それじゃ、オリジナルと言えないじゃないですか」
…はいそうなんですけど、本みたいに2版目、3版目とは書いてありませんし…どの店もそうしていると思うのですが…
そんなお客様に聞きたい、どうやって見分けるのかと…
ヤフオクにThe StoogiesのFun Houseのオリジナル(バタフライレーベル)を出品したところ
「これはオリジナルじゃないです。オリジナルは赤レーベルです。権威あるGoldmine誌でもその様に書かれています」
と質問欄に…
「ご質問ありがとうございます。ご指摘の件ですがFun Houseのオリジナルはバタフライレーベルになります。赤レーベルはカナダ盤だと思います。またGoldmine誌に権威などはございません…」
そうなんですよね書籍ってたまに嘘を書いてあるんですよね。存在していない物を存在しているとか、オリジナルじゃない物をオリジナルといったりと、それを信じてしまうのは仕方無いのですが、そんな嘘をがっつり言われるとなんか凹みます。
前回書いた『メールで「○○郵便局留めにしてください」』には続きがあって
「お宅の従業員の受け答えが酷いのでクビにしなさい」
「申し訳ございません。さすがにそれはできかねます」
「だったらもうお宅からは買いません」
「この度は本当に申し訳ございませんでした。いままでありがとうございました」
「ホントに私の言うことがきけないんですね」
「はい、申し訳ございません」
確かに従業員の対応が少し悪かったのかも知れません、でも分かるでしょ、クビは切れないです。
ごめんなさい。
前回の「例をもっと書いてくれ」というメールに応えて書いているうちに本題を忘れそうでした。
そう、今回はどうやって、そのいたたまれない気持ちを抑えていくかということでした。
前回書いた個人的には理不尽だなあと思う例はこれといって怒りたくなることはありません。
ただ、ただ面白いな~と思うだけですので気にならないのです。
私自身もそれほどよくできた人間ではありませんので腹が立つときもあります。
でも販売する側である私たちがお客様に怒ったりしたら火に油をそそぐだけです。
どんなことを書かれていてもお客様は悪気はない、ただ書き方が悪いだけと思いましょう。
そう、自分はこんな風に処理します。
→ひどいメールがくる
→腹が立つ
→一旦メールを閉じて平常心になる時間を持つ
→ひどい言葉を削り、読んで内容を理解、普通のメールだと思い込む。
→丁寧に返す。
こちら側から見た正論をキッチリ言ってもなかなか理解して頂けないんです。
そう、こっちから見た正論は、お客様にとっての正論ではないんですから。
まずは相手の立場に立って理解、そこから自分たちができないことはできないと丁寧に説明して謝るしかないんですよね。
誰だってひどいメールが送られてきたら腹が立ったり、落ち込んだりすると思います。
ですのでお客様、お願いがございます。
クレームのメールを送付したいときにはできるだけ丁寧な言葉遣いで送って頂きたい。
あなたの優しい言葉が私共の心を開き、普段はできないことをお客様の為にするかもしれない。
あのイソップ寓話*「北風を太陽」のお話を思い出して頂きたいのです。
「それを思い出さなくちゃいけないのはお前だよ!」と言われれば「はい、その通りです」としか言えないのですが…
こんな風に書いてもいつも思う事があるのです。
自分が言っていることが正しいのかなと?
お客様が言っていることが正しいのかもしれないと。
ですので今回あげた例でもお客様の中には「間違っているのはサボテンレコードでしょ」と思う方もいると思います。
それはそれでいいのではないかと思います。
でも私共もそう思いながらもお客様のご希望に添えないことも多いかとは思います。
ですので最初に謝っておきますね。
申し訳ございません!
次回は「レコードの転売で食べていけるか?」を予定しております。
レコード好きならやってみたい?転売生活を考えてみたいと思います。
クレームのお話 (1)
今回は「クレームのお話」です。
正直、当店の検盤は厳しい方ですのでそれほどのクレームを頂く事はありません。
以前は蛍光灯の下で検盤していましたがヤフオク!で買われた方から「思ったより細かなスレが多い」と言われてからは白熱灯と蛍光灯の両方使用し更に厳しく評価しています。
当店のレコードの状態は海外の検盤の評価方法を基準に簡単に言うと上から順にMint-(大変綺麗) / Exellent(綺麗) / Very Good+(まあ普通) / Very Good(若干悪い) / Good(悪い)になります。
以前ご購入いただいたお客様からこんな電話がありました。
「おたくから買ったレコード着いたんだけど、思ったよりノイズが出るんだけど」
…中略…
「お調べしたところお客様がご購入いただいたレコードはVGですので細かなスレ、傷などがあるのでノイズは出ると思います」
「でもVery Goodっていうことだよね」
「はい、Very Goodです」
「『Very Good』っていうのは『大変いい』って言うことだよね」
「普通に考えればそうなりますがグレーディングの表記上は違います。ウェブ・ページにもその様に書いておりますし…」
「いや、いや、そういうことを言っているんじゃないんだよ。常識で考えてあなたのやっていることは正しいのか?と言うことを言っているんだよ」
「はい、間違っていないと思います」
「そのグレーディングの基準を読まない人もいるだろう、そうしたら『Very Good』が『大変いい』じゃないのはおかしいじゃないかと言いたいんだ、分かる?」
「いやいや、そういうものですから、記載にも『スレ多く、若干傷あり』と書いてありますし、さすがにそれはご勘弁頂けないでしょうか」
「まあいいや、わかった。今回は仕方無いけど、表記は変えるべきだと思うよ。絶対おかしいよ!」
確かにこの表記って脈々と受け継がれていますが日本人にはちょっと変だなとは思いますよね。
海外の方に販売することもちょこちょこあるので変更することもできないのです。
表記でご不満の方、確かにそうかとは思いますが、当店できるだけ詳細に記載しておりますので何卒ご理解の上お許し下さい。
こういうレコード好きなら「そうだな」って思う話なんですが知らない方には全くおもしろくないですよね。
すみません。
そうそう
ヤフオク!で落札した方で落札翌々日、開店すぐにご連絡頂いた方がいらっしゃいました。
もう大変お怒りで
「落札後すぐにメールをするのが普通だろう! こっちは心配でずっと待っていたんだからな」
「申し訳ございません。昨日は当店休業日でしたのでメールを送付することができませんでした」
「普通の人なら落札後、午前2時くらいまでにはメールしますよ! どうしてそんな簡単な事ができないんですか」
「申し訳ございません。営業時間が午前11時から午後5時までですのでその間に返信するようにしております」
「そんなことで仕事と言えるんですか! 休みだろうとなんだろうとメールチェックして返信するのが普通でしょ!」
「申し訳ございません」
「そんなんじゃ、友達に紹介できないよ」
「はい、申し訳ございません。そのような対応は現在できかねますので、お友達に紹介はしないでください」
いやぁ〜そんなことできないです。ごめんなさい。
その時働いていた従業員は「私が休みの日とかチェックしますよ」と言ってくれたのですが….
(優しいねえ)
「いや、いい。そんな人ばかりじゃないし、その為に休みの時間を無駄にできないし…」
と答えたのでございます。
(基本的には営業時間以外はメールチェックしません。何卒ご了承下さい)
こんなこともありました。
これもヤフオク!で落札して頂いた方の話なんですが
メールで「○○郵便局留めにしてください」ときたので
「当店佐川急便ですので佐川の○○営業所留めでよろしいでしょうか」と連絡したところ
電話がかかってきて
「どうして○○郵便局留めができないの!」
「はい、佐川急便ですので、○○郵便局に送付することはできないのです」
「ヤマト運輸はやってくれるわよ! どうして佐川じゃできないのよ」
「すみません。ヤマト運輸でもその様なサービスはないと思うのですが」
「あるわよ、*いつもやってくれるもの」
「そうなんですか、申し訳ございません。佐川急便にはそのようなサービスはないのでできかねます」
「じゃあ、今回からやってよ!」
「申し訳ございません。私共にそのようなことを決められる権限がございません」
「え〜っ! あんた達本当に使えないわね、じゃいいわよ佐川の営業所留めで!」
「ご希望に添えず、申し訳ございません。ご入金確認後早急に送付致します。宜しく御願い致します」
ふ〜っ、仕事って辛い…というよりここまでくると本当に凄い人に当たっちゃったなと、わくわく楽しくなってくるから不思議です。
先日あるお客様から「サボテンレコードのグレーディングはほぼ完璧だね」とお褒めの言葉を頂きました。
これも最初にあげた「細かなスレが多い」とご連絡くださったお客様がいなければ蛍光灯の下のみでの検盤で、お褒めの言葉はいただけなかったかも知れません、もしかしたら、サボテンレコードの検盤は甘めだからと思い、既に当店からの購入をやめてしまったかもしれません。
ちょっとした不備などを指摘してくれるお客様は本当に大事だと思います。
何も言わず「この店、ダメだな」と思って買わなくなってしまうのではなく、お客さんの時間を使ってわざわざ私共に教えて頂けることに大変感謝しております。
そしてそういうことの積み重ねが次に繫がっていくと思うのです。
(とはいってもお客様すべてのご要望には応えられませんので何卒ご了承下さい)
次回は「クレームの話(2)」を予定しております。
サボテン・レコードのネット・ショップはこちらから
ブログ 『レコード店を考えてみる』 はこちらから
*当然ですがヤマト運輸の郵便局留めサービスはありません。