レコード店をやるべきか、ジャズ喫茶をやるべきか



今回は「レコード店をやるべきか、ジャズ喫茶をやるべきか」です。
中古レコード店を生業としてるとちょいちょい、おじさま方に聞かれるこの問題。
どうなんでしょう。

まずはレコード店
そのレコード店を開店したいという方々がよく言われるのは「自分のレコードがあるからそれを売って、その間にどうにかすればやっていけそうな気がするんですよね。お金もそれなりにありますし、まあ儲からなくても続けていければなあと思っているんですけど」
わかります。ご自身の持っているレコードはいいタイトルが揃っているでしょうから、確かに最初はうまくいくと思います。
問題は『その間にどうにか』です。
「『その間にどうにか』はどうするんですか?」と聞くと
「友人からレコードを売ってもらったり、買付に行ったりすればどうにかなると思うんですよね」
う〜ん、確かにうまくまわればやっていけると思いますが、その希望的観測で大丈夫なのかなあと思います。
友人が売ってくれるレコードは友人がいらないレコードですし、買付をしたことがない方が買付に行って成功する可能性はジャズに関して言えばほぼ0%だと思います。
店舗を構えて内装して開店、そしてお客さんが来てジャズ談義…う〜ん、確かに楽しいでしょう。
わかります。お店開きたいですよねえ。
でも今となっては、お客さんが思うようにはレコードは売れません。
自分が好きなものは、みんなも好きだと思うのですが悲しいかな、そんなことはないんですよねえ。
いいレコードだけ売れて、残ったのはつまらないレコードばかり、仕入れもうまくいかない。
「あ〜こんなことなら、レコード店なんて開けるんじゃなかった」という溜息が聞こえてきそうです。
ですのでその状態にならないように考えないと経営は難しいと思います。
売り上げを最低のラインから計算すると失敗する可能性は低くなると思います。

買付の知識、レコードの知識があるのであれば始めてもいいのではないでしょうか。
でもたいていの人はそんなの知らないですよね。
少しずつ始めて、店舗は持たずヤフオク!で売ってみてうまくやっていけそうなら店舗でもというのが良いかと思います。
どちらにしろ、どうしてもかなりの知識とある程度の仕入れのルートが必要です。
どちらかが欠けている場合は諦めた方がよろしいかと思います。
買付は体力勝負のところもありますしね…

そしてジャズ喫茶
ジャズ喫茶を開店したい方々がよく言われるのは「本当はレコード店をやりたいんだけど、買付の方法や知識の面で不安だからジャズ喫茶ならいいかなあと思って、お金もそれなりにありますし、まあ儲からなくても続けていければなあと思っているんですけど」
はい、でも喫茶店も大変ですよ。
どの大きさではじめるのかは人によって違うと思いますが
仮に家賃が15~20万円程度で1人か2人でまわすと考えて、1日の売り上げの予算は最低で3万~5万円と言ったところでしょうか。
昔よく行っていた喫茶店の方が話していたのですが、「売れない日の4万円(彼の予算)ってその1日で考えると果てしなく遠いですよ、お昼の人の入りが少ないだけで凹みますから」
「でもレコード店から見ると喫茶店はいいですよねぇ、お客さんがくれば必ずいくらかはおいていってくれるんだから」
「いやいや、レコード店の方がいいでしょ、営業時間の残り10分でもガツンと買ってくれる人が現れればそれで売り上げ立つんですよ、喫茶店は残り2時間からの予算達成はまず不可能ですよ。羨ましい!」
まあ、お互い隣の芝生はたいそう青く見えるということでしょうか。
営業時間は11:00~22:00くらいが普通でしょうか。
仕込みもいれたら労働時間は12時間を軽く超えます。
どうです、ちょっと辛いでしょ。
しかも毎日が試行錯誤、さらに良い店に変わっていくよう努力を積み重ねなくてはなりません。
儲からなくてもいいと思うかも知れないけど、儲からなかったらつまらなくてやめたくなる可能性は大です。
ですのでお金を儲けたいと思わないならやめた方が良いと思います。少しでも儲けたいと思いましょ。
(本当にお金が有り余っていて趣味なんだよと言う場合は別ですよ)

ジャズ喫茶よりレコード店を始める方が敷居は高いと思います。
誰もが言いますがは「始めるのは簡単だけど、続けるのは大変だ」
そう続けるのはどちらも大変。
お店を良くする努力を楽しみ、ちょっとした辛さはちょっとした楽しみくらいの考えでやっていけたらいいですね。

ここまで書いて…たしかBar Bossaの林さんもFacebookで似たようなことを以前書いていたなと思い出しました。
ここより詳しく書いてありますので気になる方は是非!
Bar Bossaの記事はこちらから
ジャズ喫茶のrompercicciのご主人から「お前の書いていることはぬるすぎる、本当の真実とはこうだ!」というご批判の記事も書いて頂きました。
rompercicciの記事はこちらから
あわせてお読みいただくとなんとなく見えてくるものがあるのではないでしょうか。
おもしろいなあ。是非読んでみて下さい。

次回は「円安とレコード・ブームが輸入中古レコード店に与える影響について」です。
レコード・ブームだから結構儲かったりしているんじゃないのと思っている方もいらっしゃるかとは思いますが、さてどうなんでしょう。

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