円安とレコード・ブームが輸入中古レコード店に与える影響について




今回は「円安とレコード・ブームが輸入中古レコード店に与える影響について」です。

買付に行ってレコードを買ってくる中古レコード店にとって円安というのはホントに困ったものです。
ご存じのようにアベノミクスにより円は$1=¥85から$1=¥125まで下降しました。約3割の下落です。
これにより今まで$10(¥850)払って買っていたレコードは現在だと¥1250を払うことになります。
このくらいのレコードですとおおよそ2400円から2800円ほどで販売していると考えられます。
ざっくりですがどのくらいの利益があがっているか考えましょう。

100円で買って1000円で売るレコードは儲からない」でも書いたように
1枚当たり、かかる経費はおおよそ744円 ($1=¥100換算ですがご容赦下さい)

$1=¥85、2400円で販売する場合
経費744円を含めましておおよそ1594円ほど、ですので利益は806円。
これが
$1=¥125、2400円で販売する場合
経費744円を含めましておおよそ1994円ほど、ですので利益は406円。
厳しさがおわかりいただけたでしょうか
さすがに406円では割りにあわないと考えるレコード店も多いとおもいますので値段を上げて2800円にする、それとも買ってくる値段をできるだけ押さえるかという話になります。

各種メディアで言われているレコード・ブーム、それはメディアのあおりなのか?、それとも本当なのか?
その真実はさておき…
お客さんに「レコード・ブームだからいいよね、売れているんでしょ!」といわれます。
確かに一部のお客さんでアベノミクスの恩恵にあずかったした人は気前よく買ってくれたりします。
ただ正直なところ、全体的に景気が良くなった実感はありません。
当店はレアなレコードが多いですから、なかなか若年層の方には手が届きにくい値段だったりするので当店までそのブームとやらが波及してくれるのはまだまだ先です。
しかし私共の買付先アメリカでは本当に良く売れているようでどこのお店に行っても「売れているよ!」って言ってきます。羨ましいかぎりです。

でもこれが問題、輸入中古レコード店にとって今一番の大敵はレコード・ブームなんです。
「なんで!」って思う方も多いかと思います。
売れているのは良いことですよね、私もそう思います。
ただ売れているので値段も上がってきているのです。
$4くらいのものは$5~$6の価格に移行した感じです。
だいたい20%ほど値段が上がっているとお考え下さい。
先ほど$10で買っていたレコードは今は$12ほど、$1=¥125で日本円になおすと1500円
僅か2年での円の下落を加えると40%を超える上昇率。
海外での価格上昇、円安とダブル・パンチ、更にいいレコードはすぐ売れていくのでレコード店の店頭には無いというトリプル・パンチ。

前回の買付時に*Led Zeppelinの「Physical Graffiti」VG+程度のものをディーラーから購入しようとして
値段を聞いたら$60、近所のレコード店でそれくらいで売っているからといわれました。
状態からしてまあ売値が4800円くらいだったので$20位かなとは思ったのですが、想像を遙か上にいく値段でした。

当然のことながら40%高くなったレコードを買えるわけはないのでできるだけ安くみつくろうのですが、まあそれなりに大変。
レコード・ブームって今の段階だと買付中古レコード店にはちょっと困ったことだなと思っているわけです。
でもこれが続いてレコードを買う人がそれなりにいるのであればレコード店も存続していけるわけでそれはいい事じゃないかと思います。

そんな中で生きている私たち中古レコード店ですが、それでも一所懸命に探してできるかぎり値段を上げずに頑張っております。
ですのでわたくしどものようなレコード店を応援したいと思うあなた、是非、近所の中古レコード店で買ってあげて下さい。
忘れていました。その前に是非当店でご購入を…是非!
サボテン・レコードのネット・ショップはこちらから

次回は「クレームのお話」、面白かったクレーム他、クレームに思う事を書きたいと思います。

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*『Physical Graffiti』を知らない方、このアルバムの中でも最も有名な「Kashmir」をYoutube(←をクリック)でどうぞ