需要があるものを売るべきか、開拓して売るべきか

上の写真はノアルイズ・レコードのウェブ・ページに掲載されているものです。


今回は「需要があるものを売るべきか、開拓して売るべきか」です。
総合店で行くべきか、専門店で行くべきか」の続きになります。

今回は前回より更に絞って「もうここでしか買えない!」というようなレコードを販売しているレコード店を考えてみたいと思います。
というわけで今回は下北沢にあるノアルイズ・レコードにいって色々聞いてきました。

サボテン・レコードは基本的に多くの需要が見込まれるであろうレコード、当店でなくても何処のお店でも売れるようなレコードを買ってきます。
ノアルイズ・レコードはスイング・ジャズ、現代音楽、ワールド、ドゥーワップ等のSP78’sを含むレコードをそのお店ならではの視点で販売しているレコード店です。

比べてみると販売方法も若干違います。
サボテン・レコードが扱っているレコードは主に名盤、内容をご存じの方も多いためネット・ショップ上に説明に記載すべきことも少なく、知られているレコードに関しては試聴もつけていません。
ノアルイズ・レコードはネット・ショップを見て頂ければ分かると思うのですが商品には詳細な説明が記載され、試聴ができるようになっています。
店主の阿部さんが言うには、「説明で大事なところは褒めるべきところは褒め、簡潔に音楽の要点をまとめて説明として提示することがお客さんの信用に繫がる」との事でした。
長すぎる文章や、褒めすぎの文章を掲載したアイテムはお客さんも「ちょっとやり過ぎ」と思うのか売れにくいかなとの事でした。
お客さんもよく読んでいるんですね。
でも「説明文、試聴がなければ全く売れないですよ」とも言っていました。

ノアルイズ・レコードで売れている物は78’sが約50%、LPが40%、45’sが10%くらいとのこと。
78’sを輸入して売っているところも少ないですし、更にノアルイズ・レコードが扱っているような78’sは更に見かけないだけあって需要が高いんですね。
概ねSPの在庫は3ヶ月で1回転するそうです。
ロングテールと言われるレコードですがこの在庫の回転数は凄いです。

78’sを買う層は30代くらいの人がメインで、男性の方が多いそうです。
78’sを聞いていた世代で考えると60歳代以上ですからその60歳以上の層ではなく30代の層ということですから確実にその需要をつくって販売しているということが分かって頂けると思います。

阿部さんの知識と熱意によってノアルイズ・レコードは運営されて、お客さんにとって素晴らしいお店になっているのですね。

もしレコード店で食べていきたいと思った時、
サボテン・レコードの様に需要があるレコードを基本的に販売していくのか、
それともノアルイズ・レコードの様に店主の好きな物を熱意を持ってとことん販売していくのか、
その方法を考えて頂ければと思います。

余談ですがノアルイズ・レコードで売れる78’sってどのあたりですかと聞くと「一番売れるのは1929年の大恐慌の後、1930~3年のその時代を切り取ったかのようなメロディーが暗くて素晴らしい作品が多いので、そのあたりが良いですね」とのことでした。
「凄っ!(その時代を知らない個人的な感想です)」

またノアルイズ・レコードの以前のメインの価格は2500円〜3000円程度だったのですが円安のため2800円-3500円位に値段を上げたいのですが上げると売れないんですよねえ、と少し嘆いていました。
というわけでお願いです。どうか円安ということを考慮してご購入していただけると私共もノアルイズ・レコードに協力できたなあと実感が湧いてきますので是非!

次回は「レコードの知識」についてです。
どのジャンルを憶えるのが一番楽なのか、または大変なのか、というような事を書きたいと思います。

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